駆け抜けたい伝説の途中

毎週水曜18時より放送中

【HUNDRED LINE -最終防衛学園-】ファイナルラスト感想

全ルートを通してのまとめの感想と、投稿するタイミングを見失っていた戦闘の感想です。

過子の記事はこちらになります。

 

 

五記事の総文字数は57000字超でした。まあ総プレイ時間が120時間のゲームだったしこれぐらいになるわな……。

ちなみに100ルートクリアしましたが戦闘物資の育成はまだ終わっていません。逆に言えばそれ以外のことはたぶん終わりました。

 

全ルートクリアまでのネタバレを含むので、閲覧にはご注意ください。

特に推敲せずに投げたメモ書きも混じっているかもしれないので、おかしなことを書いていたらごめんなさい。まあ、全部読んでくださる方はこの世にいないと思いますが。(まずハンドラを100ルートクリアするハードルが高すぎる)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦闘の雑感(一周目メイン)

本作はシミュレーションRPGとしては難易度が相当低い部類に入ると思いました。

 

本作はユニットの死亡がデメリットになるどころかメリットに還元されやすく、むしろ死ねば死ぬほど褒められて報酬が増えていきます。加えて本作は参加ユニットの数をそのまま難易度に直結させないためなのか、同じユニットでもAPさえあれば複数回行動できるシステムです。

この二要素が普通のSRPGとは一線を画しており、ごり押しが利きやすくなっていたと思います。ユニットを適当に動かして死んだら死んだで良いし、他のユニットを放置してエース一体で連続行動して殲滅など、脳筋プレイでも攻略することが可能でした。

本質はタワーディフェンスなのでユニットを雑に動かしていたら足元を掬われるかと思いきや、別に拠点に適当に鉄柵を置いておくだけでターンを稼げます。物資が消費AP0で1ターンに何度でも使える仕様、いくらなんでもぶっ飛びすぎです。

 

というわけでSRPGとしてはあまり歯応えは感じられなかったのですが……それでも楽しめたというのは一周目の感想で書いた通りでした。

とにかくユニットが個性的で使ってて楽しい。同じユニットが連続攻撃できる、ロストを恐れなくていい仕様がストレスフリー。

やはりゲームは簡単すぎるとつまらないとは限らないということを実感させられたゲームでした。

 

 

適当にやっても勝てるぐらいのバランスにしたのは、SRPG未プレイのユーザーに対する入り口を広げるのが狙いだったのかもしれません。本作のターゲット層は間違いなくダンガンロンパファンの人達であり、ゲーム内容としてもどこからどう見てもお話の方に最も力が入っているので、戦闘が億劫になってしまったら終わりです。

とはいえ、億劫に感じた人は難易度を下げればいいだけの話ですし、せっかくキャラクターが魅力に溢れているゲームなのでもう少し難しいマップは遊んでみたかった気持ちはありました。

上記のようにユニットロストが肯定される等システムが普通じゃないゲームなのでレベルデザインは難しかったと思いますが、敵の体力や攻撃力などのパラメータをもう少し上げるだけでも歯応えは生まれていたと思います。

 

……と、一周目クリア時点では上記のような文章を書いていたのですが、最近になって新難易度である『EXTREME & DESPAIR』が追加されました。

敵のダメージが全て100になる超ヤケクソ難易度!

育成をほとんど終えた後での追加だったのであまり堪能することはできませんでしたが、2マップだけプレイしてみました。SRPGらしく敵の攻撃範囲を見定める必要があり、シビアな難易度になっていて面白かったです。

 

 

 

一周目のやっつけユニット評価(難易度HUNDRED LINE)

このゲームは立ち回りとしては、最初は中型ユニットを連鎖で倒していきながらAP回収しつつ処理していき、盤面に余裕が生まれた後は撃ち漏らした雑魚敵をお掃除していくのが基本だと思います。

結局ひとつひとつのAPをどれだけバリューの高い行動に還元できるかが問われると思っているので、攻撃力や攻撃範囲に秀でたユニットの評価が高めです。

 

自分がよく使っていたユニットは澄野と丸子と凶鳥でした。

川奈は正直APをバリューの高い行動に変換できるか否かという点ではそこまでスペックは高くないと考えていましたが、色々な人の考えを聞いた後で、このゲームの難易度が低いおかげで川奈の火力でも足りるということに気づかされました。

 

 

・川奈

ゲーム内では支援が得意と説明されていますが、実際は攻撃役として最強です。ボス戦以外のwaveは全て彼女一人で殲滅できてしまいます。

自分の初期の印象としては「確かにキャラパワーは高そうだけど、攻撃力低いし移動バフもこのゲームではそんな意味ないし、言うほどかな……?」と思っていたのですが、余裕で特防隊最強でした。ダメージ1の攻撃しかないものの、「疲労しない」「他ユニットの約3倍の移動力」の特性を持つ川奈はゲームのルールを無視しています。

戦闘が面倒臭かったらAPを溜めて攻撃バフをかけた川奈で校庭一周するだけで終わります。このゲームの難易度の低い戦闘をどれだけ楽にクリアできるかという意味でも川奈は重宝するので、やはり規格外だと思います。

新難易度はオワタ式になったものの敵のHPは変更されていないので、雑魚戦waveは未だに彼女一本で無双できました。

 

 

・蒼月

移動力の低さが若干気になりますが、ダメージ2〜4の攻撃技を持っている高火力ユニットです。

中でもダメージ2の飛行特効付きで攻撃範囲が斜め12マスの審判は、このゲームの全ての技の中でも屈指の高性能技です。もはやこれ一本で食っていけるというレベルだと思います。

特異科目もアーマー以外は当たりであり、同じユニットで連続行動をするのが当たり前のこのゲームとも噛み合っています。

断罪と処罰の当てづらさを審判と特異科目がカバーしてくれており、紛れもなく強ユニットだと思います。育てなきゃ損ですね、ラスボス戦に向けて。

 

・丸子

一周目ではエースでした。何と言っても特異科目の攻撃力強化の条件が緩すぎです。ボルテージ100%なんて1ターンあれば溜まります。

初期技の攻撃範囲は驚異の9マスであり、序盤から2ダメージをこの攻撃範囲でばら撒けるのは破格すぎると思います。これだけ技範囲が広ければ移動力の低さも気にならず、射程も1~3から選択できるのである程度融通が利きます。

おそらく本来は雑魚敵殲滅用のユニットとしてデザインされていたと思いますが、特異科目が強すぎるせいで中型以上の敵を相手にするのも大得意でした。攻撃範囲が広い代わりに火力が高いユニットでした。

やっちまえ!はwave最終ターンのボルテージ稼ぎとして有用であり、ブラッドハンティング習得後は火力も更に伸びるので、他の習得技にも無駄がありませんが、やはり初期技一本で概ね食っていけるおかげで育成リソースが少ないことが丸子の強みだと思います。本当に強かったです。澄野でボルテージを稼いだ後に丸子で殲滅するのが自分の基本ムーブになっていました。

 

・凶鳥

条件が緩めでダメージ4のアーマー貫通攻撃を持っている凶鳥は、一周目では全ユニット中最強のアタッカーだったと思います。

随一の火力を有していながらも、初期技の十字斬は攻撃範囲が凄まじく優秀です。広いというより絶妙です。向きによって攻撃範囲がガラっと変わるので疲労状態中でもカバー範囲が広く、今作のシステムと大いに噛み合っていると感じました。

前衛の割には体力が低めなので決死必殺に繋げやすいのも偉かったです。本当に死んだらやばい時は技範囲を活かして反撃の射程外から攻撃すれば良いので。

蒼月や面影もダメージ4のクロックは持っていましたが、彼らは攻撃範囲や移動力に難がある上にアーマー貫通を持っていません。やはり凶鳥の使いやすさを超えることはなかったです。

自分は加入後からクリアまで対ボス戦を一任していました。彼女に攻撃ノ薬を飲ませてAP全つっぱして部隊長をワンキルするのが様式美でした。ラスボスも彼女で倒しました。

澄野に特異科目が追加される二周目以降では最強のアタッカーの座を下ろされてしまいますが、一周目ではとても頼りになりました。

 

 

・澄野

主人公らしく技範囲が広くて使いやすいユニットという触れ込みであり、実際エアブレードは技範囲・射程・追加効果全てが優秀な技だと思います。

しかし、初期技のサイドスラッシュは前方向へのリーチを欠いており、実のところダメージ2技の中ではピーキーな性能をしていると思います。インパクトスタップもアーマー貫通のダメージ3技としてボス戦相手のダメージソースとして使うことはできますが、凶鳥が加入してからは劣化になってしまいがちです。

もちろん実際の一周目のプレイでは、主人公として全戦闘で強制出撃することを見越したり、そもそも誰がいつ死ぬかもわからんゲームであると推測して装備強化や異血吸収などのリソースをとりあえず彼に吸わせる機会が多く、結果的に最も高性能なユニットとして仕上がる場合がほとんどだと思います。ボスから遠い位置に配置されたりそもそも出撃されないこともある凶鳥と比べて、澄野は全バトル強制出撃で基本的にボスの近くに配置されます。

また、特異科目が解放される二周目以降は最強のアタッカーです。味方を間引きながらインパクトスタップを連打してボス敵をワンキルしましょう。

 

・厄師寺

ゲーム内ヘルプでは攻撃範囲や耐久力が特記されていますが、実際のところは移動力と範囲に優れた打点1~3の技を持っている高性能オールラウンダーだと思います。

凹型のダメージ2の攻撃は他のダメージ2技と比較すると範囲にクセがなく、疲労状態中でも当てやすいです。初手からノーデメリットでダメージ3を出せる攻撃を持っているのも偉く、攻撃力強化と併せればHP4の敵をワンパンできるようになるので、エースとして活躍させることもできます。

ダメージ1〜3技を使い分ける近距離寄りアタッカーという点で澄野とかなり似ています。澄野と違ってエアブレードを持っていないものの、移動力が高くてダメージ2技の範囲が素直なのが強みであり、澄野に比肩するユニットだと思います。まあ、このゲームは各種強化のリソースは主人公の澄野に振りながら攻略するのが普通だと思うので、実際のプレイでは澄野の方が強くなると思いますが……。

澄野レベルの強さを持っていますが、澄野は二人も要らないという話はあります。

 

・霧藤

このゲームは体力を回復する必要があまりないというか、もはや回復しない方が強い場面がほとんどなのですが、それでもアイテムを使っても治せないスタンを唯一治せる霧藤はオンリーワンのユニットです。やはりよくある使い方としては必殺→霧藤でスタン回復→必殺のムーブだと思います。

HPが低いおかげで死にやすいのも強みだと思います。アタッカーと共に進軍してボスの反撃範囲にわざと踏み込み、反撃で死ぬことでボルテージを溜められます。

攻撃力バフはLvMAXになれば効果量が+2になるので、二周目以降はボス相手のワンキルにも貢献することができます。攻撃ノ薬や川奈のバフも最終的には効果量+2になりますが、あれらよりも必要素材は安く済みます。

 

・面影

範囲の広い攻撃を持ちながら特異科目でDPSも高められるので、キャラ設定の割には扱いやすいユニットだと思います。

やはり前方7マスをカバーできる初期技がとても優秀です。ダメージは1しかありませんが、特異科目のおかげで二回当てるだけでHP4のユニットを倒すことができます。しっかりダメージ2の攻撃を持っていることも偉く、大型の敵を倒す役割を担うこともできます。

移動力が低いせいで1ターン目から動きにくいのがネックだと思います。

 

 

・飴宮

攻撃範囲が広い上に獲得ボルテージが高く、雑魚敵殲滅役として優秀です。一周目序盤は彼女に一生行動させてました。

疲労中はダメージ2になるので、中型ユニットを巻き込みながらうまく処理できればかなりアドを稼げました。

しかし、ユニットの選択肢が増えていくに連れて、ダメージ1で範囲5マスの攻撃は力不足になっていくと思います。攻撃力も範囲も約二倍の丸子が強すぎる……。

育ち切ればラストエール重ね掛けと再行動ループによって無限行動ができるようになりますが、一周目の時点ではそこまで育てるのが難しいと思います。

 

・銀崎

一周目は挑発するよりも他のユニットでちゃっちゃと殲滅した方が手っ取り早いマップも多く、そもそもゲーム性としてタンク役がいらないので、あまり使うことはなかったです。しかし、二周目以降では頼りになる男でした。

二周目以降のマップは四か所に分かれて防衛するマップが多かったので、必然的に少ない戦力で防衛地点を守ることを要求される上、APの管理も難しかったです。そこで銀崎がいるポイントの防衛は適当に彼で挑発を使いながら数ターン放置しておき、APを他の防衛箇所のユニットに回しつつ、銀崎が死にそうになったら決死必殺を撃って敵を殲滅しながらボルテージ稼ぎ……という動きができるのがわかりやすく強かったです。

他のゲームのタンク役のように味方や防衛地点を守るというよりも、どちらかと言えば一枚でターン稼ぎができるユニットとして立ち位置を確立していたと思います。

まあ、このゲームは結局三周目以降はバトルスキップが使える上に戦闘に苦戦することもほとんどなくなるので、彼が輝くのも二周目だけかもしれませんが……。

 

・過子

長距離高火力アタッカー……というデザインですが、攻撃範囲が1マスしかないのが致命的であり、攻撃しながら周囲の雑魚を持っていけないのでアドバンテージが取りにくいです。

移動なしでダメージ3攻撃ができた場合の火力は全キャラ中トップなのですが、移動なしで攻撃をできるシチュエーションの発生が噛み合いに依存します。ヘルファイアも広範囲且つダメージ6を出せる攻撃としてアイデンティティがありますが、移動力が低く移動がデメリットになる過子の近くに敵を密集させる難易度は高いと思います。

1ターンに1回とりあえずスピリットレインを撃ってHP4の敵をワンパンし、AP+1を取る仕事はさせていました。

新難易度では敵の攻撃範囲外から攻撃を叩き込めるのが偉く、ボス戦でのメインアタッカーを担えそうでした。

 

 

・くらら

本作の難易度の低さの煽りを顕著に受けていたユニットだと思います。継続的にダメージを与えるデコイを設置する技は、どう見ても高難易度でこそ輝きそうな性能をしていますよね。

不幸にもこのゲームはわざわざAPを消費して砲台なんて置かずとも、柵を置くだけで防衛地点を守ることができてしまうので、彼女はあまりお呼びにかかりませんでした。それ以前に大砲の攻撃範囲ひねくれすぎじゃないか?という気持ちもありましたが。

防衛バリアを唯一回復することができるユニットなので、wave最終ターンに余ったAPを回復に充てることもできますが、ダルマーの自爆一発分の回復とAP1はいくらなんでも等価ではありません。

ただ本当に強みがないわけではなく、必殺技の総合火力は他のキャラの3倍という凄まじさなので、育ち切れば1ターン目からボスのワンキルを狙うことができます。新難易度ではその強みの必殺がナーフされているというのがまた……。

 

 

長々と書きましたが、このゲームはユニット毎の出撃回数に大きく差がある上に、何やってもSが取れるほどには難易度が低いです。ですからこういったユニットの個の性能のみに着眼したランクというのは正直不毛だと思います。

戦闘を楽にクリアしたければ、全戦闘で強制出撃の澄野と、1ターンで敵を殲滅できる川奈を優先的に育てて終わりだと思います。

 

 

 

 

メイン三人を除いたキャラクター感想

今度は戦闘の話ではなくシナリオの話です。

全ルートを通してみると見方が変わったキャラクターも多かったので、今一度各キャラクターへの印象について殴り書きをしていきます。

メイン三人というのは澄野と霧藤と蒼月のことです。この三人のことはこれまでの感想でも散々焦点を当てていたので……。

 

キャラクターによっては雑なことしか書いていないかもしれませんが、全キャラ好きです。

 

 

 

厄師寺

 

自分は二番目に辿り着いたシナリオが『デスゲーム編』だったので、そこでの彼の姿には面喰らった覚えがあります。こいつナイスガイすぎるだろ……と一周目で思っていた反動もあって。

後に他のルートを攻略していても、厄師寺と敵対したのはおそらく『青春編』ぐらいであり、彼は基本的には澄野には疑いの目を向けない人間であることがわかりました。「ケツ拭いてもらった恩を仇で返すのは漢のすることじゃない」「結果だけで非難するのは違う」という持論を展開している姿まで見られたので、やっぱりこのルートでの厄師寺は別人のようにも見えてしまいました。

 

しかし、その辺りは当時の感想で書いた考えからは変わらず、厄師寺が怒るのも無理もない話だし、あの役目は厄師寺じゃなければならなかったのだと思います。

配役シャッフルが見どころの『デスゲーム編』は、常に味方でいてくれたキャラと大喧嘩させられるという意味でも面白さがあったと思います。

 

やはり存在しているだけで個性が完結しているようなキャラなので、シナリオでは大袈裟な活躍を見せることはなかったように思います。

『まったり編』のポーカーなんかは珍しく彼が主役のエピソードとなっていて面白かったですね。

 

 

 

雫原

 

退場が早かった彼女は二周目から活躍していくのだろうと思っていましたが、まさか何十周も活躍していたとは思いませんでした。

 

やはりタイムリーパーという設定が肝のキャラクターです。

『SF編』はシナリオロックがあるので到達難易度が明確に高く、100ルートの内半数近くを巻き込んだ集大成のようなシナリオとなっています。『真相解明編』がハンドラのTRUEルートとするならば、『SF編』はハンドラ2のTRUEルートという認識です。

雫原はそんなハンドラ2において主役級のポジションであり、澄野の相棒にしてメインヒロインというイメージでした。よりによってその『SF編』でキャラ崩壊のような言動が多いので、あれも雫原の一面として解釈するしかなくなってしまいます。

 

ドライな人かと思いきや徐々に優しい顔も覗かせていき、完璧な人かと思いきや最後の最後で罪人であることを打ち明ける。印象の変遷が魅力的なキャラクターでした。

『SF編』はライターお得意の多世界解釈ものでした。エンタメ性に溢れた展開が見どころのストーリーでしたが、ジャンルならではの切ないドラマもその中で内包されていたのが良かったですね。

 

 

 

怠美

 

一周目では画面に映るうるさい奴という印象しかありませんでしたが、彼女の本領は二周目でした。

『デスゲーム編』で「怠美ってこんないい奴だったんか……」と思って感動していたら、後にプレイした『ノモケバ編』で感動しすぎて死にました。

 

やはり本筋の『真相解明編』の根っこで早期に退場してしまうせいで、総合的な出番は少なめだったのかなと思います。

しかし、その分主役のエピソードがしっかり用意されていたので強い印象を残してくれました。『ノモケバ編』がキャラメインのエピソードとして完璧なルート過ぎて、欲を言えば全キャラ分のこういうエピソードが見たかったまであります。

個人的に最も好きなキャラクターでした。世界に嫌われた女の子。こういうキャラクターが好きすぎました。怠美、、、

 

 

 

川奈

 

一周目では地味な印象もありましたが、周回すればするほど有能さを知らしめてくれるスーパーエンジニアでした。

生存者をカウントする装置、爆弾を起動させる装置、赤子ジャー等。様々なひみつ道具でシナリオを盛り上げてくれました。

作中で何かが破壊されることになっても川奈が直してくれるので、便利屋担当のようなイメージもありました。

戦闘面でも超有能のチートキャラなのは以前にも書いた通りです。加えて川奈は全ルートに渡って死亡率が低いおかげで基本的に最後まで使っていけるので、異血は川奈に吸わせるのが安定となっていたと思います。

 

活躍したルートを挙げればキリがないのですが、輝いていたのはやはり『デスゲーム編』と『SF編』でしょうか。

あと『コメディ編』でポエムを朗読された時の叫び声好き。

 

特防隊が仲間割れするルートは多かったですが、川奈はその全てで澄野側についてくれていたというのもかなり印象が良かったですね。

明確に澄野と敵対した場面が訪れたと言えるのは『ヴェシネス編』ぐらいでしょうか。あれもあの流れで川奈に特攻を任せる澄野が謎すぎたので、当然といえば当然という。常に味方でいてくれた川奈に殺害されるというオチは強く印象に残りました。

 

 

 

丸子

 

作中でSIREIから「不人気キャラ」なんて言われていましたが、Xを見ていると意外と丸子のイラストは回ってくるので、実際はそこそこの人気を獲得しているイメージもあります。女性ファン的には庇護欲が掻き立てられるみたいな良さがあるのかな……?

 

当初汚れ役を押し付けられているように見えた『血みどろ編』のゾンビパニックも、全ルートをクリアした後で振り返ってみると違った視点から見えるようになりました。

まず、自分に優しくしてくれた川奈に対して好意を抱く姿。基本的に女子なら誰にでも鼻の下を伸ばしていた丸子が、特定の人物に純粋な恋愛感情を向けるのは珍しい場面だったことがわかります。

そして、妄想に憑りつかれて笑顔のまま死んでいく姿。『真相解明編』を含めて終始自分が死ぬことを何よりも怖がっていたあの丸子がです。

丸子らしくないと思える描写の数々に、お調子者の彼も罪悪感に苛まれて精神的に追い詰められていたということがよくわかります。

 

初見では何がなんだかわからない内に全滅するというやりきれない結末だったゾンビパニックも、全ルートをクリアした後で振り返ってみれば、澄野G及び雫原のスタート地点であったと共に、丸子の最期も悲劇的なものだと思えるようになりました。丸子と怠美の不用意な行動のおかげで雫原が澄野と結ばれたTLが生まれたと思うと、実は全然戦犯じゃないのかもしれない。

全ルートを通してシナリオの都合でトラブルメーカーを担わせられることも多かった丸子ですが、そのバリエーションもルートによって違うという発見ができました。そんな今までになかった観点を教えてくれたキャラクターであり、個人的には印象に残りました。

 

 

 

今馬

 

終始に渡って衝動的な行動が多く、実年齢通りの子供っぽいキャラクターであると見ることもできます。

しかし、そのどれもが妹ちゃん絡みではありましたね。ちゃんと譲れないものがあってそのために駄々をこねている"若さ"だと思うと、微笑ましくもあり信念を貫いているとも思います。

どのルートでも九十九兄妹はどちらかが欠けると必ず正気を失っていたので、徹底的にふたりでひとりということを感じさせられました。

 

過子絡みで正気を失って特防隊に敵意(というか殺意)を向けてくることも多かったのですが、『デスゲーム編』や『ノモケバ編』や『青春編』をはじめとして、シンプルに澄野と敵対する描写がかなり多いキャラクターだったと感じました。

川奈が味方側についてくれた回数トップのキャラだとするならば、今馬は敵対していた回数トップのキャラだと思います。少しは澄野のことを信じてあげて;;

タイムリープした澄野が雑に無双してしまわないよう、澄野に対して疑いの目を向ける役割のキャラクターでもあったのかなと思いました。

 

SIREIになった時のブレイン役としての言動や、過子の助手としての立ち振る舞いを見ているに、頭の回るキャラだとは感じました。もう少し彼が味方側として活躍してくれるルートも見たかったですね。

 

 

 

過子

 

一周目に今馬が死んだことで復讐鬼となった彼女の姿は印象深かったです。『SF編』絡みのルートでも「過子G」として強い存在感を発揮していました。

 

しかし、いずれの姿も被害者としての印象が強すぎました。一周目はまだしも過子Gなんて彼女の意識が介在してませんからね……。

度々挟まる未来予知設定もあって作中での台詞総数自体は少なくなかったように思いますが、下ネタ好きの性格が最後まで説明されていないなど、描写として物足りなさを感じた部分はありました。

彼女の内面が良い方向で描かれるようなルートもやっぱり見たかったなぁと思います。

 

『ノモケバ編』の怠美のように等の贅沢は言いませんが、『恋しちゃったんだ編』のようなイチャイチャルートでも良いから欲しかったですね。川奈とカップルになるルートは『デスゲーム編』でもあったんだし、ここを過子にしても良かったのでは!?と感じました。

絶対今馬が黙っていないだろうし中学生と恋愛というのもどうなのという部分はありますが、まあ比較的やりたい放題してるルートなんていくらでもあるので、そこをなんとか……!

 

 

 

銀崎

 

彼に喋らせる場合は自虐の語彙を常に考えなければならないので、ライターの手腕が問われそうなキャラクターだと感じました。

ルート毎に自虐の方向性が絶妙に違っていたのが面白かったですね。

 

一周目では美味しい活躍をしていたものの、二周目以降では脅迫されて殺害に及ぶ展開が『推理編』と『ワザワイの箱編』で計二回もあったので、「あれ?」と思った子。

実際心理的な要因(蒼月いっぱい編の澄野・カリスマ澄野編の特防隊など)と正当防衛及び断罪目的を除外した場合、特防隊の仲間を直接手にかけていたのは銀崎だけですよね。

 

一応彼は「戦闘したら泡吹いて倒れる」という特防隊にあるまじき性質を持っており、蒼月に次ぐレベルの深刻なバグが発生していた可能性が伺えます。それ故に蒼月のように仲間殺しに走る一面をルートによっては覗かせていたのかな……なんて考えることにしていました。

『真相解明編』ではイヴァーを殺害した自分はいつか自殺するべきだった、と告白していました。仲間を殺していた他のルートでもそうするつもりだったのでしょうか。

 

 

 

面影

 

見た瞬間女性人気が高そうなキャラだと思いました。

第二防衛学園組全員に言えることでもあるのですが、そこにいるだけで個性を発揮しているみたいなクセの強すぎる連中まみれです。途中参入のハンデがあるからか明らかに変なキャラばかりなんだよな……。(制作背景としては「後から個性を付け足していったから後に登場するキャラほど個性的になった」らしいです。)

 

一周目の感想で書いた通り、どう見てもやべー奴の割にはストーリーに動かされているシーンが多く、一周目では大人しめのキャラクターというイメージでした。

しかし、二周目以降ではやはりと言うべきか、彼の個性が遺憾なく発揮されていきました。

 

なんと言っても彼への見方が変わるのは『デスゲーム編』でしたね。一周目で全く関わりのなかった彼が澄野の参謀役……激熱すぎる。

『真相解明編』で厄師寺達を利用し、SIREIへの謀反を企てる姿も印象に残りました。自分の体内の爆弾を取り除く施術、恐ろしすぎる。自分の目をくり抜いた蒼月と比肩する狂気でした。

その他にも川奈のように薬品開発でシナリオを盛り上げてくれることも多かったですね。最高にヤバいルートである『カリスマ澄野編』も彼が黒幕でした。

 

 

 

凶鳥

 

退場が比較的早いので、シナリオでの活躍機会は少なめだったと思います。

しかし、それでもメチャクチャすぎるキャラ設定によってプレイヤーに強い印象を植え付けてきたキャラクターではないでしょうか。

自分としても特防隊で最も"濃い"奴を選ぶとすれば凶鳥になります。胸の刺繡に「待」って書いてあるの途中で気づいて笑った。

ここまでアホなキャラを作った人工天体の人達は一体何がしたかったのでしょうか。どこからどこまでがバグなんだ……?

 

退場が早かったものの、『恋しちゃったんだ編』や『デスゲーム編』ではしっかり見せ場を与えられていたのが良かったです。

やはり彼女の"濃さ"が最も堪能できる『恋しちゃったんだ編』が良かったですね。凶鳥はこうあるべき。

 

 

 

くらら

 

萌えキャラ枠。口が悪く泣き虫なのでもしかしたら人を選ぶ部分もあるのかもしれませんが、語彙が面白い女なので好きでした。こういう超毒舌キャラも書き手の力量が出ると感じます。

やはり他の第二防衛学園組と同じく情に厚い女なのが良かったですね。一周目で違和感のあった霧藤と仲違いする描写も、背景が説明されると共にイベントを以って清算してくれたので良かったです。

 

基本的にツンツンしている子で途中退場することも多めでしたが、『恋しちゃったんだ編』と『選択編』での活躍は印象に残りました。

『選択編』は正直ヤバいルートだと思いましたが、彼女の見せ場という意味では良かったですね。『真相解明編』はやはり途中退場してしまったキャラが真相を知る機会がなかったので、実際にくららが真相を知ったらどういうリアクションをするのかというのが見れた場面でした。

『真相解明編』で浮上していた厄師寺のくららへの解釈とまんま同じでしたね。厄師寺のくららへの解像度高すぎるだろ……。

 

 

 

もこ

 

明るい性格であり、仲間割れルートでも澄野に味方してくれることが多く、かなり好感度が高めでした。事実上霧藤以外では唯一蒼月に騙されなかったキャラってことになるのかな?

 

戦闘前の変身カット(記事サムネの画像)で笑顔なのが強キャラ感があって好きでした。怠美や面影が笑ってるのはそういう奴らだからわかるけど、もこが笑ってるのは強者の余裕が見えて良い。

『恋しちゃったんだ編』ではゲームマスターを務めており、頭の良さも見せてくれました。話すのも上手いので周囲からの評価が高いのも頷けるような人気者でしたね。

 

『真相解明編』で雫原と一緒に真っ先に駆けつけてくれるのも良かったですね。

自分の記憶が嘘という話を聞いた上でもプロレスの教科書に則った行動をし、「道がなければ作ればいい」という全てを解決してしまう発言までしてくれます。前向きすぎる……。

 

二周目以降限定キャラクターでありながら途中退場する確率もそこそこ高めであり、出番自体は他のキャラと比べると少なめだったのかなと思います。個人的には割と好きなキャラでした。

 

 

 

イヴァー

 

洗脳されるルートや一切出てこないルートも多く、彼女の本来の姿が見れるルートはあまりなかったように思います。

『真相解明編』の彼女の描写は痛々しすぎましたね。『イヴァー編』が川下にあって良かった……と思いました。

 

『ワザワイの箱編』を見る限りでは素の彼女はめちゃくちゃ優しい人という印象を受けました。自分の星を侵略してきて自分を殺してきた相手にあんな感情向けられないって……。

洗脳されず捕虜にされる『デスゲーム編』と『推理編』では特防隊に敵意を向けてきますが、自由が与えられているかどうかの違いだと思うと納得はできます。

 

 

 

シオン

 

別名『???』『消えない炎の少年』『FB』。かなり舞台装置としての役割が強いキャラクターだったと思います。

しかし、舞台装置としての役割には収まらず、シオンを"仲間"として大切にしながら親交を深めていく描写をしっかりやってくれたルートが多くて良かったです。このゲームのこういうところ好き。

ルート毎に性格が変わる澄野のことを客観的な目線から見てくれていたのも面白かったと思います。『デスゲーム編』のシオンは客観的というかちょっと怖いな……と思いましたが。

 

『青春編』の突き抜け具合も好き。『連続防衛編』で澄野に拒絶されながらも仲間の為に命を削ったのも好き。

ビジュも割と好きなので好きなキャラでした。好き。

 

 

 

SIREI

 

いい声。「ワ~♪」みたいな声好き。専用BGMの『Sirei's Supervision』好き。

 

初見で「起立!礼!戦闘開始!」は今後のお決まりになるのかと思いきや、速攻で退場したので驚いた記憶がありました。

機械だからどうせ後でスペアが出てくるんだろうと思ってましたが、そんなことが全くなかったというのも意外でしたね。SIREIが死んでもなお流れ続ける時報は不気味でした。

自分の身を守るために特防隊の体内に爆弾を仕込んでいるものの、相打ち覚悟で攻撃されればあっさり撃沈してしまうので、相当な紙耐久でした。ルートによってはあっさり破壊されてしまう描写も多かったです。迎撃システムみたいな無敵セキュリティ用意してるぐらいなんだからもっとなんとかならなかったんかと思いつつも、無敵の存在じゃないおかげで親近感はありました。

 

一周目では見えなかった非情な部分が二周目以降では存分に発揮されていきました。

特にメインシナリオである『真相解明編』では割とやりたい放題をしてくるルートであり、進めれば進めるほど彼への不信感が募っていくこと間違いなしです。過激な発言も多く、イヴァーだけでなく特防隊にも洗脳を施してきます。

 

そんな人類の総意AIでも、シオンのことは息子として見ているという人情は見せていました。

こういう描写を見ているとシオンのように舞台装置であり仲間という見方もできますが、結局のところ全ての黒幕であることには変わりなく、真相を知った澄野達からは最後まで許されていなかったと思います。END1では最終的にバグってしまった彼を破壊するというのも悲しい。

 

 

 

NIGOU

 

大谷育江ボイスの「Nooooo!」好き。俺もNIGOUのかくし芸が見たい。

誰かに似てると思ったらオバケのQ太郎に出てくるP子でした。

 

 

 

 

100のエンディング全てが真ルートってマジ?

度々言われている「100のエンディング全部が真ルート並に面白い」という宣伝文句が誇張であるという話について。

結論から言うと自分も誇張ではあると思います。もちろん該当の発言が本当にあったらの話ですが。

 

 

『選択編』の感想でも少し触れていましたが、公式の開発ブログのオーダーに対して自分の意見を述べておきます。

 

  • その99個のエンディングには必ず意味を持たせてほしい。←他のBADと全く同じ末路を辿る即オチBADなど、どう頑張って解釈しても意味を汲み取れないENDはありました
  • それらはオマケシナリオやスピンオフのように見えてはならない。←デスゲーム編のようにジャンルが違えど「みんなで100日間を生き延びる」という当初の目的が一貫しているルートは良いのですが、それがそっちのけでコメディや恋愛に走っているルートは流石にオマケシナリオやスピンオフという立ち位置に感じます
  • 安易なバッドエンドは避けること(たとえば分かれ道があって「右を選んだからトラップにかかって死にました…【END No.XX】」みたいなのは禁止)←選択編をはじめとしてかなり多かったです
  • なんならメインシナリオは“真ルート”と呼ばなくてもいい。←専用ムービーがいくつも用意されていること、ED曲が固有であることなど、他のルートと一線を画している要素からTRUEルートと扱われることがほとんどだと思います
  • すべてのルートが“真ルート”と呼ばれてもいいぐらいの濃密な中身になっていること。←即オチBADが(以下略)

 

やはり本作には意味や濃密さを汲み取れない即オチBADがかなりの量あったと思います。

『ノモケバ編』のノモケバに全滅させられるBAD等は、ノモケバのおぞましさと共に同化以外の選択は詰むということを強調しており、存在していることに意味があると感じることはできました。

しかし、箱の開け方を間違えて全滅したり答え方を間違えてスタンガンを喰らってゲームオーバーなど、やはり誰がやっても真ルートにはならないと思えるBADは事実として多かったと感じます。

 

とはいえ、上記の箇条書きはあくまで制作過程のオーダーでしかなかったのだと考えています。

特に最後の「100のエンディング全てが真ルート並に濃密」という行は、正直見た瞬間からそりゃ無理に決まってるよね……という気持ちしかなかったです。仮にそのぐらい濃密だったらこのゲームの容量は10倍以上になっていたと思います。

最終的には間に合わなくて小高氏がライターとして参加したという背景もあったようなので、本当に制作段階の話でしかないのだと感じました。

 

 

自分は公式の発言を全て網羅しているわけではないので、宣伝文句でどこまでのことを言っていたのかはわかりません。

上記の開発ブログでの文章や、スタッフの「自分のお気に入りのルートを真ルートにできるのがハンドレッドライン」という旨の発言によって、全てのルートが真ルートぐらい面白いと捉えられてしまいがちなのかなと思います。本当に「全ルートが真ルート」と断言しているような発言があったならば申し訳ありません。

 

自分としても不満点を挙げるとすれば、『サイワイの箱編』と『選択編』と『連続防衛編』だけはどうにかして欲しかったという気持ちがありました。

この3シナリオだけは申し訳ありませんが他のルートと比べて明確にクオリティの差を感じました。自分はアプデ後にプレイしたので連続防衛の真の地獄を知りませんが……。

 

 

しかし、逆に言えばそれ以外のルートは楽しむことができました。

確かに所々あからさまな水増しを感じる部分はあったものの、自分がクリアにかかった時間は120時間でした。

仮に上記の3シナリオを全て除外したとしても82ルートもあるので十分過ぎるボリュームであり、濃密なルートが数多に用意されていた大作というのは事実ではあります。というかこの3シナリオにも良かったシーンは確かにあったので、完全に除外するのも失礼です。

 

公式の『終わらないアドベンチャーゲーム』というコンセプトは本物であり、ここまでプレイしていて終わりが見えないアドベンチャーゲームは初めてでした。とても長い期間楽しませてもらいました。

 

 

 

 

好きなエンディングTOP10

1シナリオ1エンド縛り。

 

1位『END1 真相解明編:さようなら最終防衛学園』

2位『END49 ノモケバ編:みんなで、1つに』

3位『END55 SF編:永遠の17人』

4位『END87 デスゲーム編:地獄の果ての新天地』

5位『END3 さよなら蒼月編:最後の願い事』

6位『END41 カリスマ澄野編:支配者』

7位『END65 恋しちゃったんだ編:気持ち』

8位『END48 青春編:じゃあね、親友』

9位『END34 ワザワイの箱編:哀惜の出立』

10位『END43 ヴェシネス編:在りし日の希望』

 

 

メインシナリオである『真相解明編』が一番好きでした。

 

やはり一周目で最も活躍していたキャラクターといえば蒼月です。彼は紛れもなくハンドラのメインキャラクターの一角でした。

蒼月は『ノモケバ編』や『SF編』では澄野達の味方をしてくれましたが、それは認知の変化や洗脳があったからの話です。

自分がようやく辿り着いた『真相解明編』では、それらの特殊な状況が介在しない上で遂に蒼月が仲間になってくれる枝であり、とてもプレイしていて感慨深かったルートでした。

 

個別感想でも書きましたが、最も気に入ったのは澄野と霧藤とカルアの三人の関係でした。

澄野の妄想の産物であり偶然の産物。そんな彼女のことを確かなものとして認める澄野と霧藤が強かでしたね。

そして、彼らがその姿勢を最後まで貫いたのがラストシーン。どこまでも悲劇的で寂寥感の強い結末でした。

 

 

『SF編』は確かにギャグの方向性の違いが顕著だったり、最後の畳み方が力業に見える等の違和感は今でもあります。

しかし、やはり100ルート中の半数近くに細々と散りばめられていた伏線が、満を持して回収されていく爽快感は素晴らしかったです。

澄野と雫原が「全員が笑顔で最終日を迎える結末」にこだわり続け、ついに辿り着いたエンディングには達成感がありました。

 

 

そういえば全ルートをクリアしても解明されない謎もありましたね。

特に『SF編』ではパラレリープ装置の出所、謎の老人、霧藤の特異体、ギィの母星、白衣のおばさんなど、多くの謎をばらまきまくっていました。正直伏線を丸投げするのは担当ライターさんのいつもの手口ではあるのですが、それにしても世界観のスケールが大きく変動しそうな謎なのにも関わらず、それ以降一切触れられていないことは気になりました。

DLCの話も結構出てるみたいだし、一応そっちで回収する予定なのかな……?

 

 

 

 

おわりに

100のエンディングを描きつつ、大半に"真ルート"ばりの価値を持たせているハンドレッドライン。前例のないゲームでした。

 

 

個別感想の時にも少し触れましたが、それぞれの結末に同等の価値を持たせられていることによる相乗作用というのがこのゲームならではであり、自分が特に気に入った部分でした。

本作は最後の最後の選択肢で結末が二分する構造にされていることが多かったと思いますが、その中でもメリーBAD ENDのような結末は対比によって美しさが際立てられていると感じます。

顕著なのは『ノモケバ編』でしょうか。「選択することはどちらかを捨てることである」と澄野は言っていましたが、正にそれを実感させられるシナリオでした。

 

本作でEND1として位置付けられている『真相解明編』は霧藤以外の全員が死亡するまさかの結末であり、人によっては救いのないエンディングであると感じられると思います。

自分も一本道でこの結末しかなかったらダメージが大きかったですが、このゲームには全員が笑顔で100日目を迎えられる結末だって存在しています。

「公式は真ルートと明言しないけどどう見ても真ルート」というズルい存在。だからこそのエンディングだったと感じました。

 

蒼月やイヴァーはルートによって立ち位置も扱いも大きく異なり、100ルートある本作ならではのキャラクターとなっていたと思います。

『SF編』を最初にプレイした時は、結局洗脳でしか彼らと分かり合えなかったと思うと寂しいな……と思っていたのですが、後に『イヴァー編』や『さよなら蒼月編』などの彼らが主役のルートがしっかり用意されていたので良かったです。

 

 

また、シナリオによっては到底真ルートとは呼べないようなBAD ENDが用意されていたのは事実でしたが、それらが多めに配置されているシナリオはそれはそれでベストエンドに辿り着いた時の達成感がありました。

『デスゲーム編』は数々のドボン選択肢の果てに"新天地"が待っており、プレイを終えた時は満足感がありました。『選択編』は……うん。

 

あとは他のゲームにはない「100のマルチエンディング」という部分がつい強く印象に残ってしまいますが、普通に一周目だけでもアドベンチャーゲームとして死ぬほど面白かったですね。本当に先が気になる作りにされていました。

 

 

ハンドレッドライン、ゲーム史に残る超大作でした。

プレイした後の余韻が凄すぎて別のADVを始める気が全然起きなくなってしまいました。感想も書き終えたしぼちぼち他のゲームも再開していかなきゃな……。