
猫忍えくすはーとシリーズはWhirlpoolより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲームです。
本コンプリートパックはシリーズ三部作のほか、DL専用販売であったファンディスク作品も全て収録されており、単品でシリーズを一通りプレイすることができるタイトルとなっております。
作品としては個別ルートが存在しないハーレムものであるというのが大きな特徴となっております。
選択肢によって見れるイベントが変わるような差分はあるものの、結末は一様です。
元はロープライスのゲームなので、一作あたり5時間程度で楽しめる短編となっております。

これは猫忍えくすはーとと猫の写真です。
追記よりネタバレを踏まえた感想になります。
1
目の前に忍者二人が登場し、突然自分を主として慕ってくる。
非常にわかりやすく雑味のない導入は短編のゲームならではでした。

目的ごと初見で看破される雑過ぎる大根芝居。あまりにもしょうもなさすぎて好き。
この時点でこのゲームの世界観の虜になっていたかもしれません。
終盤では事態が急変し、ゆらとたまの本領が発揮される全面戦争勃発か!? ……と思いきや、試験というオチでした。
敵アジトに単身で乗り込む場面は、シリーズ中でも最も主人公が体を張って頑張っていたパートだったと思います。どこまでが容認されていたのかは謎でしたが。
鈴木一派の実力は不透明でしたが、律が練度が高いと評す辺りは年季的にも相当な手練れなのでしょうか。風魔全体の戦力まで考慮したら話は変わると思いますが。
2
新登場したヒロインの中では、律が中々に面白いキャラでしたね。ゆらと似ているタイプということで彼女のような我儘娘かと思いきや、4人の忍びの中では最も忠義に厚い女の子でした。
仕事ができて頭が回ることからして、色々な意味で幼い他の3人と比べると明らかにスペックが抜けて高いキャラクターです。しかし、結局世間知らずであることと義理堅すぎる性格のせいで衝突を繰り返していた印象です。
そして、身を心も捧げた相手に尽くす為に異分子を排除しようと考えるのは、忍びとしての矜持以前に恋愛観としては持っていて当たり前ではあります。
本作がハーレムものであるという前提の部分を叩いてくれたキャラクターでした。
3vs3の星取り戦はこのゲームらしからぬ熱い展開でした。
まあ、公園で身内同士で行われる小規模なものだったし、最終的には勝負の結果とは関係なく丸く収まるわけですが。一行が各自の能力を活かして戦うという構図は面白かったです。
2+PLUS
2のファンディスクであり、ヒロイン4人のイチャラブミニストーリーが楽しめるという触れ込みの作品。
それぞれの内容を一言で説明すると、女子高生ゆら、魔法少女たま、バイト戦士律、猫を飼うマヤ。

高すぎる煽り力。
律はたこ焼き屋のような接客業は彼女の性格上長続きはしなかったと思いますが、社会性がなくてもできるバイトなんてたくさんあるので勿体なさそうでした。居眠りもたった一回の不注意ですからね。
マヤのエピソードももはや定番のお話でしたが、普段弄られっぱなしで発言権がない太が主役というのが面白かったです。彼女が全員から弄られる理由もなんとなくわかるようなオチでした。
各ヒロイン毎にHシーンは一つずつあるのみで、クリア時間も数十分程度でした。
どれもこのシリーズにしては珍しいオムニバス形式のエピソードで面白かったです。やっぱりこの4人は会話が面白い。
3
新ヒロインは年上ヒロイン二人とクールヒロイン一人であり、居なかった属性の女の子を三人連れて来たよ、というようなラインナップでした。
2までのヒロインは総じて幼稚で騒がしい女の子だらけだったので、対極的な3人を登場させたという印象でした。
中でも陽葵と沙奈はこのゲームにようやく登場した「話せる相手」と言っても過言ではなかったです。
ですから本作は春希の主としての在り様が、二人を通して言語化されていました。この辺りの会話の真面目っぷりはシリーズ中でも随一でしたね。

考えが読めない沙奈さんとの会話はドキドキすること必至です。
これまでの「全員が幸せになる結果を目指す」という根底はそのままに、陽葵の協力要請を突っぱねた上で自分が彼女にできることを他に探す姿が描かれました。
ハーレムものにしては中々誠実に見える主人公ですが、それにしても「亜人との子供って普通にできるんだ……」なんて今作になって驚いていたことは衝撃的でした。鈴木さんに聞けばわかっていたことだし、今まで気にしてなかったのは問題過ぎないか?
未来にまだ目を向けられていないというのは本人も独白していましたが、1でゆらとたまの為に身を削ってバイトに精を出していた程度には現実を見ていたはずだったので、この部分の適当さは節操無しに感じてしまいました。
元よりエロゲで妊娠云々のツッコミをするのは野暮な気もしますが、知っていてやるのと知らずにやるのでは意味が大きく違います。まあ、一応シノちゃんも誠実だと評しているので気にしない方向で……。
ここまで至れり尽くせりに自分の立場を守ってくれた鈴木さんに刀を向けるのは中々強かでしたね。
行動動機としては陽葵の未来を閉ざしたくなかったからというだけであり、それ以上のことは考えていなかったというもの。結果的に陽葵がヘタれたおかげで丸く収まって良かったですね。
このシリーズは1と3で鈴木一派との戦闘、2では3本勝負でそれぞれ戦闘パートがありますが、毎度のこと最終的には奮闘虚しく勝手に事態が収束するという切ない幕切れをしているのが特徴的でした。
一応1は主人公達の覚悟を見せる為の試験、2は律への説教、3は陽葵の心を変えるという意味で必要な工程ではありました。最後まで「敵」が一切登場しない平和な生活だったので、ゆら達の忍びとしての奮闘が結果を大きく変えるようなことはありませんでした。

なんにせよこのゲームの戦闘CGのかっこよさは異常でした。
これ以上の戦闘が見たければSPIN!をやりましょうという話かもしれません。
【好きなナンバリング】
2+PLUS>3>2>1
【好きなヒロインTOP3】
ゆら・律・彩羽
ナンバリング毎にヒロインが、「変わる」のではなく「どんどん増えていく」シリーズでした。
特に3になるとヒロインが7人にもなります。サブヒロインを含めれば9人という大所帯です。
各ヒロインはそれぞれが個性的に描かれつつも、個別ルートがない以上は全員を主役にするというわけにはいかず、ボリュームと分母に比例して出番は少なめとなってしまいました。
三部作共に大まかなあらすじとしては「新登場したキャラクターが家族として受け入れるまでの過程を描く」というものになっていました。
ヒロイン達は猫なだけあってナワバリ意識がとても強く、正式に迎え入れられるまでは毎度のこと一悶着がありました。
そういった部分と唯一かけ離れて純粋な日常が写実されていた『2+PLUS』の雰囲気はとても好きでした。
これは完全に自分の趣味なのですが、キャラクターや会話の雰囲気がとても自分好みだったので、ヒロインを4人に絞ったオーソドックスなフルプライス美少女ゲームとなった猫忍えくすはーとの世界もそれはそれで興味深かったとは思います。
鈴木さんは立場が立場なので確かに終始目立ってはいましたが、逆にここまで面白くて独自の立場をしている女なのに攻略不可能なのは残念だと感じてしまいました。
とはいえ、こういった感情は本作の在り方を否定しているものでしかありません。
女の子全員を家族として受け入れていき、全員にとって「最も良い形」を目指す。分け隔てなく女の子を愛していくというハーレムゲーであることが、本作の最大の特徴でした。
上記のようにふと思った理由なのですが、とにかくこのゲームはゆらが可愛い。本当に可愛い。死ぬほど可愛い。
忠義忠義言ってる忍びの割には我儘で口答えばかり、他の忍びに対して暴力や悪口を繰り返すのは日常茶飯事、そのくせ本人は仕事放棄しまくったりトラブルを起こしまくったりという無能すぎる女の子。絵に描いたような精神的に幼稚なメインヒロインでしたが、だからこそ庇護欲が大いに搔き立てられました。
話し方のバリエーションが豊富であり、語彙がいちいち面白くて仕方なかったです。CV小鳥居夕花にハマってしまいそうでした。

3では流石にヒロインも増えてきて出番がかなり少なくされていましたが、激しく求めてしまうほどにハルキ殿を渇望していたというHシーンで語られた事実にはグッときましたね。
定期的にンモウと言ってくるせいでのび太の先生を想起させてきたことを除けば、褒めるところしかありませんでした。
本作はトラブルメーカーとなっているのがゆら、会話の中心となっているキャラクターがゆらなので、彼女が出てくるだけで笑顔になれました。
本作のギャグテイストの手綱も基本的にゆらが握っていたので、自分の中でこのゲームの魅力の半分以上は彼女の面白さにありました。
逆に彼女の性格が無理な人はこのゲームを楽しむのは難しいと思います。そういう面でも風魔ゆらはこのゲームの全てだったと思います。
ハーレムゲーということで「7人のヒロインの中から好きな女の子を探してね😉」という類のゲームではあると思うのですが、その実看板ヒロインの主張がかなり強い作品だったと思います。
大好きなキャラクターが見つかり、テキストも笑いに溢れていて面白く、個人的にはとても楽しめたキャラゲーでした。
キャラクター数の多いロープライスゲームということもあってシナリオやキャラクター描写は希薄な部分も感じたので、とても楽しめたからこそもう少しこの世界を見てみたかったという気持ちは確かにありました。
しかし、自分の中で「こういうのでいい」ならぬ「こういうのがいい」ということを教えてくれた大切な作品でした。
一対一の純愛。意外性のあるストーリー。ノベルゲームの在り方はそれだけではありません。そんなものがなくてもキャラさえ良ければ全て良しでした。

BGMは良曲が多く、たまに挟まれるシリアスパートと戦闘パートはBGMによって一層シーンが引き立てられていたと思います。
それもそのはずで、聞いた話によればそのほとんどが他のWhirlpool作品から引っ張ってきた選りすぐりのBGMだったようです。ギャラリー機能で聴けないのが残念でしたね。
OPの中では初代OPの『la la for you』が好きすぎてヘビロテしてしまっています。
OPにどハマりすることが作品を好きになる要因に直結するということを、クリア後一ヵ月が経過した今ではとても実感しています。