2025年9月26日にゆずソフトより発売された、18禁恋愛アドベンチャーゲームです。公式の略称はララジャムです。
(追記・推奨攻略順検索で来た方へ)
このゲームの攻略順はめっちゃ自由だと思います。ただしサブヒロインのルートがアンロックされるのが1ルートクリア後なのは過去作と同様です。
ネタバレなしレビュー

自分がゆずソフトの作品をプレイするのは本作が5作目です。(天使騒々→サノバ→千恋→リドジョ→ララジャム)
文中の過去作という表記は「筆者が過去にプレイした同ブランドの作品」というニュアンスなのでご了承ください。
- 自分のクリア時間は25時間前後。共通ルート・個別ルート共に長く、過去作と比較しても屈指の大ボリュームタイトルだった。
- 豊富なイベントスチル、サウンドレベル、快適なUI等、相変わらずゲームとしての水準は極めて高い。特に音響面の完成度が圧倒的であり、今まで通りED曲が個別で用意されているほか、バンドものらしく個別ルート毎に専用のライブ曲が用意されている。ボーカル曲の収録数は驚異の16曲。
- いつも通り萌えゲーとして最強だった。お約束を外さない萌えエロ描写やイベントスチル枚数の暴力によって、ヒロインはとにかく可愛い。
- 同ブランドお馴染みのファンタジー要素は介在しない。必然的に過去作と比べて設定の解説に尺が割かれないこととボリュームの多さも相まって、サイドストーリーをはじめとしたヒロインの掘り下げも多く、キャラゲーとしての良さが際立てられていると感じた。
- シナリオは過去作と比べても最も洗練されている印象を受けた。あくまで私見ではあるが、本作では過去作で頻出した外的問題の解決を主題とするシナリオがほとんど見られず、主人公及びヒロインの描写に重点が置かれていたことが好印象だった。中でも杏珠ルートのシナリオの完成度は個人的には最高峰だった。
- 「青春バンドもの」としての泥臭さは良い意味でも悪い意味でも希薄。カジュアルな世界観であり、登場人物達の努力がすぐに結果へと結びつきやすいため、物語のテンポは非常に良い。反面、主人公達のバンドグループが非凡な速度で知名度を伸ばしていく等、やや現実性を欠いているという捉えられ方をする余地もある。(とはいえ、そういった舞台の中でも登場人物達の苦悩や成長はきっちり描かれている。)
- ライブ曲はどれもクオリティが高いのだが、本編のライブシーン中で楽曲が流れるタイミングは非常に短く、本編内ではクリックする手を止めなければフルで聴くことができない。無論エクストラモードから聴き直すことはできるのだが、バンドものにしてはライブシーンの演出がおざなりになっているという向きもあるかもしれない。
個人的おすすめ度は★★★★★です。
今作はガチのマジでどのルートのシナリオも面白かったです。過去にプレイしたゆずソフト作品の中でも大ボリュームの傑作でした。
ファンタジー設定の介在や外的問題の解決に由来した、複雑な解説パートが存在しないという点でも入り込みやすい世界観でした。5作品しか触れてない立場ではありますが、同ブランドの作品をプレイしたことがない方にも勧めやすいタイトルだと思います。
便宜上レビューをしていますが、やはり客観的な目線で評価をするのは苦手です。正直勢いが現実性を欠いてるとかライブ曲がフルで聴きづらいとか個人的にはめっちゃどうでもいいので……。
自分としてはゆずソフトのゲームは、「公式サイトのキャラ紹介を見てビビッときたやつをやる」という遊び方がベストであると考えています。他の作品も替えの利かないタイトルではありますから、各人にとって刺さるキャラクターがいる作品こそが最高傑作だと思います。
ただ、そういった個人の嗜好を一旦脇に置いた場合、ララジャムはこれまでに触れてきた同ブランドの作品群の中でも総合的な完成度において際立っており、特に自信をもって薦められる一作であると感じました。
体験版までのプレイ雑感
共通ルートの雰囲気はゆずソフトらしく、バロメーターがエロ方向に大きく振られていました。
勘違いを発端とした下品な会話だったり、ラッキースケベの量が凄まじい。物凄く終わってる言い方をすると、女の子の恥ずかしい言葉や恥ずかしいシーンの連続で構築されているゲームでした。
王道を往くエロエロで馬鹿馬鹿しいアトモスフィア。やっぱゆずソフト作品といえばこれよ、と思えるもので良かったですね。
また、相変わらずのイベントスチルのクオリティの高さも共通ルートの段階から実感させられました。
中でもこもわた先生の描くSDCGですね。あまりにも量が多く、ぬるぬる動きすぎている。

ストーリーとしては事前情報通りバンドものでした。
サブキャラクターの主張は過去作と比べると強めに感じました。立ち絵のある男キャラクターが4人いる上、モブの出番も多めです。賑やかな世界観に感じました。
男キャラクターの中で言うと、主人公の親友枠ポジションのキャラクターである不二衛哉君は割かしお気に入りでした。

見た目の割に声がイケボすぎるし、主人公の相棒として純粋に能力が高く、好感度はかなり高かったです。
自分が過去にプレイした作品の親友枠は軽薄男か男の娘のいずれかだったので、こういうキャラも珍しいと感じました。(女装の話題が出てたし、一応カテゴリ的には男の娘になるのかな?)
共通ルートの大筋となっていた雪鷹の作曲の際にも目立っていましたね。
ヒロイン全員が賛同を示した中で彼だけが違和感を覚えたこと、その彼の違和感を感じ取れた雪鷹といい、付き合いの長さが感じられる描写となっていて好きでした。新曲が完成した際は自分のせいで雪鷹を追い詰めてしまっていたことを心配してる辺り、こいつ優しいな……と感じました。
主人公の雪鷹くんも個性的でしたね。
作中ではノンデリの権化と言われていました。まあ、発表前にただでさえ緊張している人間に対して「野次が飛んでくるかも」とそのまま忠告をするのは割とノンデリなのかもしれない。
発表会のゲリラライブが完全な雪鷹自身のエゴというのも意外な落としどころでした。自分をバンドの世界に再び引きずり込んでくれた恵凪への恩返しとか、恵凪を放っておけなかったとか、そういう綺麗な着地点じゃないんだね……。
とはいえお節介とエゴというのは得てして紙一重ではありますから、恩着せがましく恵凪の為に行動をしたことにするよりは、あえて雪鷹の気持ち良さの為というコミカルな決着にされるというのも納得はできました。ヒロインに負い目感じられるよりはヒロインから弄られる方が楽しいからね。
続いてはメインの攻略ヒロイン4人に対する現時点での感想です。
なお自分のプレイ前の予習レベルは「カウントダウン動画を飛び飛びで見ていた」程度です。あと公式サイトも少しだけ見ていました。
サブヒロインについてはまだ出番が少なく、わからないことが多すぎるので割愛させていただきます。

メインヒロインの恵凪。例の路上ライブで熱唱しているCGがとても印象的だったこと、やや釣り目のクール系ビジュから迸る才色兼備感から、作中のバンド界隈で最前線を走っているような強キャラであると想像していました。
しかし蓋を開けてみれば……なんだこの可愛い生き物は! ポンコツすぎて可愛い場面が多くてニヤニヤしていました。強キャラかと思いきや全然素人だったので、個別ルートは彼女の成長が主題になる王道的なシナリオになりそうで楽しみです。
印象に残ったのは作曲に悩む主人公に優しさを向ける姿でしたね。天使すぎる。この子俺のこと好きなのかな……?ってなっちゃうな。
先行CGを見たユーザーの間で波紋が広がっていた「淫紋」の答え合わせも体験版の時点でされることとなりました。実は正体がサキュバスというどんでん返しが待ってても個人的には熱かったが、流石にそんなことはなかった。
プレイ前から見た目では最も気に入ったヒロインでした。どうせクリア後も一番好きって言ってます。なんのゲームをやっても大体看板ヒロインを一番推してるので。
バイト仲間の杏珠。雪鷹とのやり取りがとにかく可愛かったですね。
主人公との距離感は幼馴染コンビの次に近く感じました。普通に「は?」とか言う雪鷹好き。
自分のことをあまり話したがらないようなミステリアスな姿が印象付いていましたが、最終的には普通に身バレした挙句に家のことを自分から話していたし、もう秘密は抱えていないのでしょうか。
月望。わからなすぎる。登場したのが遅すぎました。
性格として掘り下げられていたのは「実はムッツリ」という一面のみでした。いつもいる人やん!
雪鷹の危惧の通りではないものの、バンドに加入した理由は恵凪のことを近くで見たいからであり、バンドへの好奇心は他のメンバーと比較するとやはり薄めでした。
恵凪への感情の強さを匂わせていたので、個別ではそういう部分から膨らまされるのかなと考えています。あるいはピアニストを取るかレモネードファクトリーを取るかの選択を迫られるとか。
莉々子。まず最初のCGがエロすぎるという話はある。
今のところは壁に寄りかかりながら腕を組んでいる人になっていますが、やっぱりギターはある程度弾けるという設定がある以上、個別ルートでは彼女が舞台に立つような熱血なシーンも待ってるのかもしれません。
以下よりゲームクリアまでのネタバレを踏まえた感想になるので、閲覧にはご注意ください。
月望ルート
このブランドの作品を遊ぶ時は「まず一番乳がデカいキャラから攻略する」という矜持があるので、その信念を貫く為にも最初は月望ルートに進みました。
ルートに入った途端「あれ?随分話のレベルが高いな」と違和感を覚えました。
話のレベルが高いというのは語弊があるかもしれませんが、なんというか文体が……違う。妙に理屈っぽく、妙にロジカルでした。
本作にあのライターさんが関わっていることは知っていたので、この辺りの文体と後々のギャグパートの温度からして、担当しているとしたらここだよな……とプレイしながら感じていました。
自分は最初にプレイしたルートだったので初見ではわかりませんでしたが、全ルートを通してみると月望は主要ヒロイン4人の中では最も出番が少ないキャラクターだったと思います。
設定としてわかりやすく符号化されているものといえばムッツリという一点のみです。それでいて騒がしい人が多いレモネードファクトリーの中では「冷静な意見を述べるお嬢様」という役割も担当しているので、エロい設定もルートによっては持て余されていたように感じます。ほとんど喋らないルートも中にはあったと感じます。
クラスメイトである恵凪や莉々子、バイト仲間である杏珠と違ってそもそもの出番が少なく、雪鷹としても「距離感を掴めない」と認識されていたことと思います。
ですから物語上比較的影が薄めだった月望に関して、彼女の能力の高さをロジカルに描いてくれた本ルートの筆致の価値は高かったと、全ルートを通した後では特に実感させられました。
共通ルートで垣間見えていた月望のバイタリティの高さの延長。音楽を学問として身に付けている彼女の凄さ。バンドにおけるキーボードという役割の重要性の高さ。
「月望はこんなに凄い子だった!」ということが論理的に説明されており、とても気持ちの良いシナリオでした。
他の部分で言うと日常パートの雰囲気も良い意味でしょうもなくて面白かったです。前半の掛け合いでかなりツボっていましたね。
月見の勘違いネタコントと、恵凪のねこふんじゃったアレンジの天丼が好き。唐揚げにレモンをかける歌は後に恵凪ルートでも登場して笑いました。

上のレビューの方では泥臭さが希薄であると書きましたが、このルートに関しては主人公のクリエイターとしての挫折を重厚に描いており、本作随一のスポ根展開であると感じました。
雪鷹はAIの楽曲への利用を教室での会話では拒否していました。時代に合わせたメッセージ性のある会話だなー……と読んだ時はぼんやりと感じる程度だったのですが、まさかあれが後の盗作騒動に繋がってくるとは思いませんでした。
あんな漫画によくいそうな感じの変なおじさんが、実はしっかりとした審美眼を持っていたというのも意外でしたね。このルートは全体的にモブが濃すぎました。
そんな雪鷹のプライドを理解していた月望の態度も好きでしたね。この子やっぱり凄すぎる。


自分の実力を認めて悔しがること。
数年間たくさんのことを勉強して、伸び悩み続けて、ようやくレモネードファクトリーという答えを得られた月望ならではの発言であると感じました。
なんでもこなしてしまう月望はパッと見天賦の才を持っているようにも見えるのですが、自分に足りないものを探して努力し続けられる人間です。作中でも努力家としてのバイタリティの高さが強調されていた印象があります。
終盤の定期考査にて、平均61点を取る月望。
月望は元々学業に関しては平均点を超える方が珍しく、「赤点さえ免れればOK」というスタンスであることが共通ルートでは語られていました。本当にギリギリを攻めていたことがわかったし、必要な分だけ努力ができる人なのだと感じました。
自分の感覚としてもそうなのですが、頭がいい人ってなんでもできるんじゃなくて、要領がいいんですよね。要はサボるところはサボるのが上手いんです。

序盤の尺が長く、「こいつらいつくっつくんだ?」とやきもきすること必至なルート。
そうして溜めただけあってと言うべきか、ダラダラしていたのはむしろ必然だったと言うべきか。彼らの恋愛模様は独特であり、美しかったです。
初めてのキスの思い出は、曲作りのなか、勢いでしちゃいました。
俺たちの一番楽しいことの合間にやっちゃいました。
それでいい。
ロマンティックさのカケラもなくても、俺たちらしい。
幼馴染でもない、クラスメイトでもない、バイト仲間でもない。
だからこそ音楽で繋がった関係であると胸を張れる、唯一無二の関係性。全体を通してそれが強調されていたルートだったと感じました。
ということで、突如決まった月望のウィーン行き。ピアニストのヒロインがウィーンに行くシナリオを見るのは何回目だろう。
最後の最後で主人公とヒロインの涙のお別れ;; ……というわけではなく、そこは今のご時世。オンライン会議という便利すぎるものがありました。
アフターでも月望はかなりの頻度で日本に帰ってきていたことがわかりました。
こんな簡単に問題が収束するなら一体なんだったんだ……という声もあるかもしれません。しかし、序中盤のボリュームが凄まじかったルートなので、これ以上長くするべきではないと思います。
何よりもこの騒動に向き合う雪鷹と月望の描写が光っており、大きな意味はあったと感じられた展開でした。

このルートで最も印象に残ったのはこちらのやり取りでしたね。
ヒロインの海外渡航という定番の悲しいお別れにしては、雪鷹と月望は驚くほど受け入れていました。上記のオンライン参加という手段や、今後時々帰国するという約束があったにしても、会えなくなることは寂しいに決まっていると思います。
そんな二人の態度を穏便なものに形作っていたのは、やはり二人の独特な恋愛のスタイルならではだったと感じました。
遠距離恋愛になったとしても、自分たちは音で通じ合えるからちょっとだけ大丈夫という結論。二人ならではの答えであり、それが聞けたという面でこのストーリー展開には意味があったと感じました。
また、自分は体験版時点の予想で書いていた通り、月望ルートは「ピアノを取るかバンドを取るか」という選択が迫られるシナリオを予想していました。
実際留学という形でそれに近いお話は展開されていたと思いますが、答えはこのようになりました。
もちろん解決手段としては個人の能力とは関係なく、テクノロジー全開ではありました。しかし、嶌越月望は何が起ころうと二兎を追って二兎を得られる人間である。そんな主張にも見えた結末でした。
完成したライブ曲、『燈月小夜曲』。
バラードのような楽曲でとても好みでしたね。本作の楽曲の中でも上位に入るぐらい好きで、何度も聴いてしまっています。恵凪の歌い方がとても可愛い。
しかしまあ……これを雪鷹が書いたと思うとなんという恥ずかしい歌詞。不器用なお姫様と鈍感な王子様て。月望のことばかりを考えながら作曲したという背景に違わない楽曲でした。
後にプレイした莉々子ルートでは雪鷹は恋愛ソングの是非について衛哉と話していたのですが、『燈月小夜曲』のようなウルトラハイパーラブソングを聴いた後ではなんだか笑える会話となっていました。まあ『幻灯花火』の時点で相当恋愛ソングっぽかった気もするけど。
全ルートを通して見ても出番が少なめだった月望。
そんな彼女の圧倒的な強さや、唯一無二な恋愛模様。それらが精緻に描かれているルートであり、大満足の内容でした。
でも急にニャオハとかホゲータとか言わせるのはふざけすぎな!
那優花ルート
さゆ太もとい那優花から作曲のアレンジを教えてもらった後、楽曲をそのまま使わせてもらうようにお願いをする雪鷹。
直前にプレイしたルートが月望ルートだったので、思うところのある描写でしたね。どこまでがパクりなのかということや、雪鷹のプライドに関して解釈の深まる展開でした。
月望ルートでの盗作騒動は、盗作か否かというラインの話ではなく、雪鷹が無意識に影響を受けてしまったことでプライドが傷ついたことが問題でした。最初から自分でお願いをして楽曲を使わせてもらうというこのルートでの行動は、やはりそれとは全く別の話なのだと感じました。
しかし、それでも月望ルートでの雪鷹はあくまで自分達の作った曲でやりたいとは宣言していたはずです。それが那優花ルートではこういった楽曲の使い方をしたのは、作中でも何度も繰り返されていた通り、それだけ那優花が雪鷹にとって尊敬の対象だったのだと感じられて好きでした。

仕事の愚痴を雪鷹にこぼし、ストレスがないと作曲ができないという自身の状態を打ち明ける那優花。
本作はクリエイターならではの苦悩がこのように描かれることが全体を通して多かったように思います。ゲームを作っている人はもちろんクリエイターなわけなので、書きやすい話題ではありそうですね……。
自分はクリエイターではないので共感は難しかったのですが、実際焦りやプレッシャーが作り手の創作の環境に必須となってしまうケースがあるというのは一般論だと思います。創作意欲の問題というよりは、ヤーキーズ・ドッドソンの法則をはじめとして心理学的に裏付けられている現象です。
作曲におけるストレス。雪鷹も作中ではヒーヒー言いながら作曲をしている描写はあったので、彼にとっても無関係な話題ではなかったと感じます。
しかし、学生達が趣味でやっているバンド活動とは違い、仕事で作曲をしている那優花は重みが違いすぎました。
青春バンドものということで後ろ暗い話題が少なめだったララジャム。那優花のこの状態は彼女が登場人物の中でも大人であることを象徴していたと感じました。
いわば音楽の道に進み過ぎてしまったが故の葛藤。今はバンドを楽しんでるレモネードファクトリーの人達も、いつかこういう悩みにぶつかるのかな……なんて考えてしまいます。
月望ルートの恋愛の形は独特だったと書きましたが、このルートの恋愛もまた唯一無二でした。
まあ従妹との恋愛な時点で唯一無二なのは当然なのですが、それにしても那優花が思ったよりも変な子過ぎて、変なことばっかりしていたなぁと。

そして、恋人ごっこ系は過去作でもよく見た展開だったので今更言うことでもないのですが、気持ちを確かめるためにキスをするのは初めて見ました。

まあ、このルートに関して何より印象に残ったことは一択でしたね。SHAM NEKOの再結成熱すぎだろ!と。
社会人になり、今では音楽から離れた大人達を集めて、一夜限りのバンド再結成。こういうの良すぎるよな~。
ヒロさんもステータス的にどこからどう見ても忙しいのにバンド練習に付き合ってくれるのが優しい。内心本人も再結成を満更ではなさそうにしてるのも良かったです。
再結成自体は雪鷹の我儘でしかないのですが、それが那優花への恩返しになっているのも良かったです。
那優花が抱えていた苦悩は大雑把な言い方をすれば、趣味が仕事になってしまったことによる苦労の一種だったと思います。そんな那優花に対しては、音楽を楽しんでいた時代と同じ舞台を再現することこそが、彼女の音楽に対する感情を再認識させるための儀式でした。
あの時新しい世界を見せてくれた那優花への恩返しとして、音楽の楽しさを思い出させてあげた。SHAM NEKOの景色を見せてくれた那優花に、SHAM NEKOの景色を見せてあげた。胸に響く構図でした。
楽しいという感情を自覚させるためのライブ。同時に、雪鷹と那優花にとっての最高の思い出となるライブ。
那優花の笑顔が眩しすぎましたし、自分の曲を「ゲロみたいな曲」と解釈していた人が「一番楽しそうに笑っていた」という一文は感慨深かったです。
色々ありますが、昔のバンドを再結成する流れを大一番に持ってきたのが熱すぎたという、自分の中の発表ドラゴンを歓喜させてくれたルートでした。
サブヒロインのルートならではの展開であり、バンドものならではの展開だったと感じました。良かったです。本当に良かった。
せっかくだからドラム叩いてるヒロさんのCGもめっちゃ見たかったけど、まあびしょゲだし仕方ないよね……。
莉々子ルート
莉々子がギターを辞めたのはサイドストーリーで説明されていた通りであり、技術以上に幼馴染との温度差が原因でした。
共通ルートを読んでいた時はなんだかんだで最終的にバンドに加入する流れだと思っていたのですが、実際のところはハッキリやらないと宣言するだけの理由がありましたね。個別ルートで「怪我した杏珠の代わりに莉々子が参戦」という漫画のような展開が起こることを予想していたのですが、そんなことはありませんでした。
作曲素人なのにも関わらず曲作りのペースが速すぎる雪鷹や、バイタリティの化物である月望など、スキルの高い人物の多い作品です。
しかし、莉々子はそれらの人物と比べても群を抜いているというか、彼女がいなかったら舞台は成り立っていなかったと言えるほどの立役者だと思います。いくら素材が良いと言っても、いくら運が絡むと言っても、あっという間にレモネードファクトリーを有名にしてしまった凄い女でした。
そんな凄い幼馴染との恋愛が描かれたルートなわけですが、雪鷹の方から莉々子のことを死ぬほど意識しちゃうようになっていったという流れは面白かったですね。
これがガチ恋製造機の力か……。自分の気持ちにノンデリだったというのも誰うまでした。

幼馴染との恋愛ものといえば、腐れ縁から恋人関係への変遷・グラデーションが見所となると思います。自分としてもこのルートをプレイする前から最も楽しみにしていた部分でした。
それで言うとこのルートの雰囲気はめっっっっっちゃくちゃ良かったですね。
だって自分達が昔遊んでいた近所の公園で、夜二人だけの世界で語り合ってるんですよ。"良さ"しかない。あまりの雰囲気の暴力に雪鷹も莉々子も酔った発言をしまくっていたと思います。
そして、雪鷹からの告白。このルートで最も印象に残った場面でした。

ここで言うんだ……ってなったし、名前を出さずにぽつぽつ語り始める雰囲気がもうすごい。萌えるというかなんかもう感動するというか普通に泣いた。
ここまで散々振り回してくれたガチ恋製造機の余裕がついに崩れた瞬間というのも相まって最高の場面でしたね。尊い。愛おしい。
雪鷹の勇気の告白となりましたが、莉々子の答えは保留となりました。
告白キャンセル界隈ならぬ告白保留界隈。過去作でも何度か見かけた流れでしたね。
現実ではよくある話でしかないのですが、美少女ゲームでは若干珍しいシチュエーションであるとは感じます。相手に対する誠意という面では賛否は分かれがちな描写という印象です。
とはいえ、今回の場合は保留にして欲しいと言ったのは雪鷹自身であり、彼も雰囲気にほだされて言ったことは自覚していました。
何よりも、保留なんて言いつつも莉々子の気持ちはどう見ても最初から決まっていたと思います。それは衛哉が述べていた通りであり、自分の部屋で「ぅぉぉぉぉぉぉおおおおお~~~~ッッッ」といちいち悶えていた姿こそが彼女の本性です。
告白の答えも莉々子節でしたね。
「自分がバンドを続けていたらどうなってただろう?」と何度も自問していた莉々子らしい考え方。とりあえず付き合っちゃおうかみたいなノリも、腐れ縁で関わり続けたこの二人らしい着地点でした。
保留にした挙句に「付き合おっか?」という軽いノリで返事をし、「約束破ったら即別れる」と条件まで付けるのは、端から見れば相当上から目線です。
しかし、こんな態度を取っておきながら結局この後部屋の中で悶えるんだろうなと思うと面白い女すぎます。てか「それ俺のことメッチャ好きってことじゃね?」と雪鷹には普通に見抜かれてるっていう……。
そうやって自分の気持ちを真っ直ぐに伝えられない姿が目立っていた莉々子。
だからこそ、雪鷹が落ち込んでいる時に気持ちを真っ直ぐに伝えてくれた終盤のワンシーンは心に響きました。
「おっぱい揉む?」には涙が止まらなかったです。というのは嘘で、自分こそが一番のファンという宣言をはじめとした、彼女の喝はかっこよかったですね。

ラストの締め方もとても良かったです。というのもED曲『おんなじ気持ち』が流れ、エピローグでCHAPTER10-4を莉々子視点でそのまま描くという一連の演出が粋すぎました。
お互いの気持ちを必死に隠したり打ち明けたりしながらも、ようやく結ばれた幼馴染。紆余曲折あったものの、やはりこのルートで美しかったのは幼馴染二人が互いに同じ気持ちを抱いていたという事実だったのではないでしょうか。
そんな「おんなじ気持ち」だったことを尊重し切ったED曲とエピローグ。綺麗な締めくくりで非常に余韻が残りました。

アフターの初めのやり取りは莉々子初登場シーンを想起させるものでした。雪鷹の反応が同じに見えて異なっているのも感慨深い描写でしたね。
「ドキドキだけじゃなくてドクドクするようになった」と語る雪鷹。あまりにもおっさんギャグすぎるけど、二人の関係のグラデーションを表現し切っていて好きでした。
杏珠ルート
結論から言うと一番面白かったルートでした。ララジャムはもちろん全ルート面白かったのですが、杏珠ルートはその中でも最も心に響きました。
作品毎に魅力は異なりますし、そもそも自分は5作品しかクリアしていないのですが、これまでにプレイしたゆずソフト作品の個別ルートの中でも屈指の完成度の高さだったと感じました。全てにおいて最高峰だった化け物シナリオでした。
自分のスキルアップの為に、ユーパイパー*として活動を始める杏珠。(*:ユーチューバーの意)

今作はクリエイターならではの悩みにリアリティがあるという話を別ルートの感想でもしましたが、その一種と言えるものだったと思います。
しかし、伸び悩んだ挙句にコンテンツをポルノ化することまで考え始めていた杏珠。想像以上に深刻でしたね。
動画を撮る寸前まで行って我に返った模様。……寸前まで行ってやっと踏みとどまったんだ!? どれだけ切羽詰まっていたのでしょうか。
個人ブログのような緩めの創作活動を趣味で続けており、身近にyoutuberが多い自分としては、ヒロさんのこの辺りの話にはとても共感ができました。
バズるのは運だけど、努力をすれば運を引き寄せられる確率は上がる。この努力として最も重要だとされているのは、やはり「継続する努力」に他ならないと思います。
数字を価値基準においた場合、11年前に投稿したゲームの動画がたまたま伸びてチャンネル登録者2600人を超えたような、運だけの人間も中にはいるでしょう。
しかし、昔見かけた時は登録者数も視聴回数も少なかったのに、継続して活動を続けることで数字を手にして有名になった人達も身近には多かったです。そういった地道に継続して努力を続けたことで結果を手にした方々のことを、自分はとてもリスペクトしています。そういう方々を見ていると古参ぶりたくなる感慨深い気持ちになります。
シナリオの本質からは外れた何気ない発言にも見えますが、結局このような継続して何かに取り組むような努力だって、後々美徳とされる「行動する勇気」という部分に繋がってくるのだと感じます。
そして始まった杏珠の初ライブ*。(*:音楽ライブではなくライブ配信の意)
このルートで一番笑ったセクションはここでしたね。タオルを投げてやりたい……! 杏珠が可愛いし面白過ぎるし神回でした。
いかがわしい配信みたいな感じになりつつも、最終的には娘を応援する配信のようなコメント欄となり、成功を収める。ヤバすぎました。
ボイチャを繋いで見守ってるレモネードファクトリーのメンバーも可愛い。杏珠が「視聴者ゼロだと心が死ぬから配信を開いておいて欲しい」ってわざわざお願いしてた辺りが最も笑いました。(ギャグすぎる描写だけどこれも杏珠の最後の成長に繋がっていると思うと感動的……という話が無限にできてしまうのがこのルート。)
告白の場面はとても良かったですね。
勇気を持てず、行動をすることを怖がっていた杏珠。そんな彼女が泣き始めてしまうほど気持ちを込めているというのは余程のことだと感じ、つい感情移入してしまいました。
カップルになった二人の恋愛は笑いに溢れていましたね。
杏珠の勇気に応えるために「今こそ男を見せる時」と豪語したものの、秒殺される雪鷹。登場するイマジナリーメスガキ杏珠。
そして、杏珠の勇気がまさかの早とちりだったことを知った事後。「一緒にヤりたい事件の再来」と二人が笑い合っていたのは微笑ましかったです。
アフターはボリュームたっぷりであり、ローターを見て過呼吸になる姿には笑いました。「え、これ死ん――」なんて発言が飛び出すのもアホらしすぎました。
上記の二人の関係性の変遷も魅力的な部分でした。
しかし、やはりこのルートのシナリオで自分が特に惹かれたのは、雪鷹と杏珠の自分探しという、モラトリアム的な葛藤を軸としたテーマ性の部分でした。
何度も壁にぶつかり、何度も間違いながらも、答えを探し続けた雪鷹と杏珠。彼らの思考プロセスはリアリティが高く引き込まれました。
ここでは自分の思考の整理も兼ねてあらすじをまとめていきたいと思います。
まず、雪鷹は一体どうあるべきなのか。
雪鷹は共通ルートの「滅茶苦茶面白いだろ……!」発言からわかる通り、ひりつくような感覚を求めて高みを目指していくような欲望を秘めている人物です。そんな中で同じくスキルアップを目指しており、たとえ自分が暴れても寄り添ってついてきてくれる杏珠とは、個性の噛み合う関係だったと思います。
杏珠の成長を手助けしたい。雪鷹はその感覚に関して、自分のことを棚に上げて他力本願にしてしまっていることや、自分の押し付けになってしまっていることを危惧していました。
しかし、そういった雑念を削ぎ落して結局雪鷹に残るのは、「杏珠の音が好き」という事実でした。杏珠自身が変わりたがっていること、何より自分自身が杏珠のギターが好きというエゴから、雪鷹は「隠さん追い詰め計画」を遂行していきました。

しかし、物語が進むにつれて、それすらも間違いだったことを雪鷹は自覚しました。
自分はむしろもっと傲慢に、もっと強欲になるべきだった。杏珠を輝かせ、みんなのポテンシャルを引き出せるような曲を作るという図々しい「自信」こそが、雪鷹に足りていないものでした。

共通ルートから強調されていた雪鷹の「ノンデリ」。
図々しく自信を掲げていくという本ルートで得た答えは、いわばその極致に達していたとも言えるのではないでしょうか。
次に杏珠の自己理解。このルートでは「杏珠Radio」によって逐一杏珠の心情が言語化されていきます。

このルートでの杏珠はひたむきにスキルアップを目指していました。
しかし、雪鷹と結ばれた途端に上画像のような顔になり、満たされた気持ちになっていました。
自分は自分の価値を示したいわけではなく、誰かに評価されたがっていただけなのだと。自分はどこまでも凡人だったのだと認識してしまっていました。
そんな中で杏珠の下に舞い降りたガールズバンドへのスカウト。無個性を貫く〝変幻自在のギタリスト〟になるために、何よりもとりあえずやってみようという自身のスタンスから、杏珠はスカウトを受けようと考えました。
しかし、そこで自分が寂しさを感じたことによって、ようやく杏珠は自分の感情の正体を掴むことができました。
スキルアップがしたかったのも、雪鷹と結ばれて満足してしまっていたことも、自分の心がレモネードファクトリーにあったからだった。つまり、レモネードファクトリーというバンドグループが、好きで好きで仕方がなかったのが理由だった。
Youpipeでバズりたいという欲求。彼氏ができたことで満たされた気持ちになったという充足感。一見自己顕示欲や承認欲求の類に見えたそれらは錯覚で、彼女の本質は仲間達への好意から生まれていた純粋な衝動に過ぎませんでした。
結局のところ、ワタシに必要だったのは。
実績とか、自信とか、そういうのじゃなくて。
みんなからの想いを受け止める勇気。それだけだったんだと思う。
失敗するのが怖かった。
期待を裏切ることが恐ろしかった。
だから、なにもかもを、無難にやり過ごそうとしていた。
でももう、そういうのはおしまい。
怖くても、恐ろしくても、前に進む。
だって、一歩踏み出したその先には――こんなにも素敵な世界が、広がっているんだから。
エピローグの独白は、杏珠の長い旅路の総括でした。
最初は自分のことを話したがらないミステリアスな存在だった杏珠。結局彼女は優しくて、誰よりも友達想いだったんだな……と。
杏珠に必要なのは自信ではなく勇気だった。
自信という概念は実に多面的ですが、ここでの定義は「自分の能力に対する信頼」であるように思われます。そう捉えると両者は似ていますが、ニュアンスは異なります。
雪鷹視点のシナリオを見るに、本ルートが自信の在り方を完全に否定しているとは思えません。しかし、行動を自然に可能にしてくれるのは自信ですが、自信がなくても行動を可能にしてくれるのが勇気です。
怖がらずに進めるのが自信であり、怖くても進むのが勇気。杏珠が後悔しないために一歩踏み出すこと、前に進むために必要なのは、自信よりも勇気の方でした。
そして、順番が前後してしまいますが、このルートに最高のエンドマークをつけてくれたのが最後のライブシーンでした。
雪鷹のベースから音が出ない機材トラブルが発生する。その時杏珠が動きました。
あの時ギターピックを落としてフォローされていた杏珠が、今度はフォローをするためにギターピックを落とした。あの時のミスをパフォーマンスへと昇華させた杏珠。かっこよすぎる……。
杏珠がギターピックを落とすシーンはOP挿入直前のパートなので、印象に残っている方も多いと思います。いわば始まりのワンシーンが最後の最後で拾い上げられるという対比構造でした。

雪鷹のふてぶてしい自信は元々は彼女からのオーダーに由来していました。傲慢になること自体は周囲の為にも必要だったことであり、決して間違いではありません。
しかし、それでも過剰な自信は危うさを確かに孕んでいます。それは「慢心」と「驕り」です。
実際にここで描かれたトラブルは、初歩的な機材チェックを怠るという慢心に起因していました。
また、自分の方が杏珠を輝かせられると考えていた心も驕りではありました。ガールズバンドではなく、杏珠への驕りです。輝かせる対象として見守ってきた少女が、この瞬間一歩踏み出すことで自分の手を離れ、自分を救ってくれたのですから。
失敗を恐れ、期待を裏切ることを恐れ、常に周りに合わせた音を奏でていた杏珠。
雪鷹のように「自信」はないけれど、「勇気」を掲げることができたのが杏珠。それが表明された瞬間がこのギタースラップだったのではないでしょうか。
雪鷹にとってはここから始まるものであるとすぐに訂正していましたが、プレイヤー目線ではシナリオの到達点であり集大成であるように見えた場面でした。
共通ルートの描写を拾い上げた対比演出にして、自信と勇気というテーマの決着にして、個別ルートの杏珠の成長の象徴。全てが詰まっていた最高の結末でした。
萌えゲーとして存分に魅力が引き立てられているヒロイン、主人公とヒロインの心理描写を基軸とした筆致、自己確立を巡るリアリティを帯びたテーマ性、二人の歩みが一点に収束する結末。完璧すぎるルートです。
プレイ中は杏珠の可愛さに和みながら、シナリオ構成の美しさに感嘆し、最後のギタースラップのシーンではエグいぐらい感動してしまいました。
また、詳しくはまとめのところにも書きますが、ライブ曲の『RGB』が杏珠ルートの全て過ぎて、これが本当に素晴らしいです。本作で最も気に入った楽曲でした。
とにかく尋常じゃないぐらい面白かったです。
今後杏珠ルートを超えるルートは出てこないことを確信しました。
美玖ルート
今後美玖ルートを超えるルートは出てこないことを確信しました。
体験版のキャラ感想において、「どうせ恵凪が一番好きになるに決まってる」と書いたことを謝罪させていただきます。
こいつ可愛すぎる。やばい。まさかここまで強烈なキャラクターが待っていたとは思いませんでした。

体験版の時点ではいちいち対抗心を燃やしてくる感じのライバルキャラかな~ぐらいに予想していたのですが、全然そんなことなかったですね。ただのレモネードファクトリーのファンでした。
そういうわけでレモネードファクトリーおよび雪鷹への信頼がとにかく厚い。莉々子ルートでは「自分よりも雪鷹を信用できている」と莉々子から言われていたほどです。バンドマンとしての彼を理解している同業者だからこそなのかもしれません。(それは付き合いの短さ故の妄信なんじゃないかという話はさておき)
美玖の可愛いシーンは挙げたらキリがないです。
いくつか挙げるならば「じーっ」の三段活用が良すぎました。求め方が尻尾を振ってる動物すぎる。
あとは雄真との掛け合いも微笑ましすぎました。「やってやんよ、ああんっ?」の声ガチで好き。
雪鷹がヒロインとの接触の際に身体を反応させる描写は、気のせいではなく他ルートよりも多く感じました。可愛いもんな。仕方ないよな。
ちなみに自分が一番好きな髪型は実はツインテールなのですが、最初に公式サイトを見た時に美玖の夏の姿がツインテール仕様となっていたので、とてもプレイするのを楽しみにしていました。攻略順を後ろから二番目に回しているのはその覚悟故です。
しかし、個別ルートの時季が基本的に秋と冬である本作では、美玖の夏の姿を個別ルート内で拝むことができなかったので、このゲームを引退しました。
その後にアフターストーリーをプレイしたら夏服のエロシーンがあったので、このゲームに復帰しました。
急にシナリオの話を始めますが、このルートでは怪我をした雪鷹の代わりに美玖がレモネードファクトリーのサポートに入り、雪鷹の代わりのベーシストとして参加する展開があります。
展開としては中々唐突ではありましたが、個人的には大好物でしたね。いわば人の気持ちを継承して代わりに戦うという流れが王道で熱い。何よりも普段距離の遠いサブヒロインが自分たちの輪に入ってくれるということで、他のヒロインとの掛け合いも見られるようになったのがとても良かったですね。
雪鷹の模倣をしてもダメ、技術を全開してもダメ。重要だったのは子供の頃の雪鷹のように、楽しんで弾くという心。
このルートに限った話ではないのですが、こういう場面で衛哉がすぐに答えに辿り着くのが頼りになりすぎて好きでした。あまりにも参謀役すぎる。
美玖は美玖で子供の雪鷹の動画を一回見ただけで、次の日には周囲を満足させられる演奏ができるようになるというのも天才肌すぎましたね。
そして、告白の流れ。告白シーンが総じてロマンチックだった本作ですが、美玖ルートはもはやギャグでしたね。


これが無自覚だったのアホ可愛すぎる。この後に恵凪がMCで「ついさっき負けられない理由ができた」と語り始めるのも、ヒロイン達の仲の良さが感じられて好きでした。
gorとのガチ対バン。急に登場した本ルート独自の単語でしたが、終盤で意味を成してきましたね。
本作は全ルートひっくるめるとgorとの合同ライブ自体は3回あるのですが、勝敗を決するという意味ではこのルートが唯一でした。美玖ルートだからこそだよなーと感じるところ。
ガチ対バンにはgorの未来が懸かっている。美玖はレモネードファクトリーとgorがその出来事をきっかけに、関係にしこりを生んでしまわないか心配していました。
結局雪鷹が礫川兄弟とどのように話し合って決着をつけたのかは、語られることはありませんでした。
とはいえ、ガチ対バンとスカウトの話がそのままだった以上、男たちの考え方が変わることはなかったのでしょうね。傑の妹への態度が珍しく辛辣だったのは、美玖が自分たちに無用な心配を向けているという本心に気づいていたからだったのかな、と感じました。
そういった有耶無耶な収束をしたのはあえてのことだったと思います。
重要なのは勝敗のその先を気にすることではなく、それらのしがらみをどうでもいいと思えるような気持ち。シナリオ中盤でガキの雪鷹の演奏が解決のキーとなっていたことの延長でした。
バンドマンとして演奏をただ楽しむのではなく、子供のように馬鹿正直に音楽を楽しむ心。天才の美玖に唯一足りていなかった心であり、本ルートで美徳にされていた事項だったと感じます。

足りていなかったと言うと語弊があるかもしれませんが、それは別に彼女の弱点と言えるものではなかったと思います。他のルートでの彼女の最強っぷりを見ていてもそれは明らかです。
これに関してはレモネードファクトリーというバンドに参加したことで初めて表面化されたものであり、ただレモネードファクトリーでやっていく為に必要だった性質に過ぎないのだと思います。何故なら杏珠ルートや莉々子ルートで示されていた通り、レモネードファクトリーは個性のケミストリーが特色である寄せ集めバンドグループなのですから。一つじゃないからこそ起きた化学反応~。
欠けた輪を繋ぐために雪鷹の模倣を試み、人生を賭けた勝負のリスクへと目を向けられていた美玖は、信じられないぐらい大人だったと思います。
しかし、このルートで重んじられていたのはそのような部分ではなかったのだと感じました。無論美玖の思考自体は雪鷹から肯定されていた時点で誤りではありません。ただ、この場所ではヘタクソなベースを楽しそうに弾き続けられる人間が得をするとされていました。
音楽を楽しむのではなく、めっちゃ楽しむ。締めのシーンでも大事にされていて良かったです。
最後のCGは綺麗すぎました。てか美玖の髪エロすぎて死ぬ。
アフターストーリーの締めも素敵でしたね。内容が他ルートよりも未来に踏み込んだものであり、ボリュームもたっぷりで良かったです。
焦って大人になろうとしていた雪鷹と、彼の意思を尊重して寄り添う美玖。これも個別ルートの主張と地続きになっていると感じました。
サブヒロインにしては強い存在感を放っていたキャラであり、ルートも短めながらも面白かったです。ゆずソフトのサブヒロイン、強すぎると話題。
美玖が可愛いと思わせてくれた理由は、日常の掛け合いの面白さももちろんあるのですが、どこまでも若さを賛美している明るいテーマが功を奏していたとも思います。「ややこしい話はポイ」をとにかく詰め込んでいたシナリオは、自然体で楽しめる内容で気持ち良く、萌えゲーとして100点満点でした。
恵凪ルート
元SHAM NEKOメンバー、妃洋がついに登場。
共通ルートの回想で出てきてファ●クなんて言っていたのを見た時点で、まあ恵凪ルートで出てきそうなキャラだよなー……と思っていたのですが、案の定でしたね。
そういえばこのゲームのプレイ中にアプデが入ったことで立ち絵が追加されましたが、妃洋の立ち絵はありませんでした。学生会長よりはどう考えても出番多いだろ! まあその辺は事情があるのでしょうけど。
それにしてもプレイ前はかなりの重要キャラだと思っていたのですが、実際のところは説明の為にいたようなキャラであり、意外と出番は少なめでしたね。それでも学生会長よりはどう考えても出番多いだろ!
このルートはプレイ中にすごいことに気づいてしまいました。なんと恵凪が可愛いです。
度々話しているのですが、自分がゆずソフトで最も魅力的に思う部分は、"キャラクターの可愛さ"という部分です。こう思っているのはおそらくこの世で自分だけでしょう。
それを感じさせてくれる理由は、偏に原画の美しさだったり、お約束を外さないエロに富んだ掛け合いなど、様々な要因が折り重なっていると思います。
それに関して(ネタ抜きで)あくまで自分の場合なのですが、こもわた先生の描くSDCGによってそう感じさせられている向きが強いです。
自分がそういう認識をしている中で、恵凪は本作でSDCGを最も贅沢に利用してきたヒロインでした。贅の限りを尽くすかの如く。注ぎ込む湯水の如く。
本作には差分を抜くと33枚のSDCGがあるのですが、その中でも恵凪の登場回数は14回です。まさかの約半分!?
ただでさえ元々見た目が一番好きだったのに、こんなことをされたら好きにならないわけなかったです。可愛い…可愛い…。これが恋…?

恵凪は基本的には優等生美少女で通っているキャラなので、このようにSDCGでコミカルに表現されるとギャップ萌えが大いに感じられます。恵凪とマッチしすぎている魅力の引き立て方です。

可愛いと思えた描写はもちろんSDCGのみならず、シナリオ内にも多かったです。
いくつか挙げると「家に、誰もいないので」連呼はかなり好きでしたね。あとはなるほど連呼も。
告白の場面も感動的でしたね。メインヒロインらしいと言うべきか、もどかしくないものとなっていて良かったです。
このシーンもあってBGMの『First Love』が好きになりました。

恵凪ルートは彼女の家族関係を解消するお話でした。「急に出てきた新キャラを救う」という大筋は、過去にプレイしたゆずソフトのシナリオに近かったと感じました。
個人的にはそれらが縁も所縁もない人物や動物だった場合は共感が難しくなってしまい、必然的に主要人物の描写が少なくなってしまうので、正直なところ今まではそこまで好きではなかった展開です。
しかし、今回の場合は縁も所縁もないどころか、縁と所縁しかないキャラクターです。それも病弱の母親という重すぎる設定……。かなり感情移入してしまいましたね。
正直設定としては月望ルートや那優花ルートが可愛く見えるほど激重であり、恵凪たんに萌え萌えしている場合じゃないと思えてしまうようなシナリオでした。とはいえ、「泣ける」という要素は読み手の感情を率直に揺さぶるものなので、物語にわかりやすい起伏を与えてくれます。
何よりもこういったシナリオが土台としてあるからこそ描かれる想いだってあります。恵凪が強い子すぎたし、優しい子すぎた。情緒的な感動のみならず、キャラゲーとしてそう思わせてくれるルートでした。
最後に描かれたのはワンマンライブ。看板ヒロインのルートなだけあって催し物の規模は最大でしたね。
レモネードファクトリーだけでなく、gorや那優花やヒロさんなど、周囲の人々の助力の上で成り立っていたのは熱かったです。彼らは他のルートでもずっと雪鷹を支えてくれていたので、今までほんまありがとう……と感傷的な気持ちになりました。
カバー曲を歌いたいという希望を雪鷹に出す恵凪。
カバー曲というからには最初に会った時に歌っていた『トレジャー』なのかな? と予想していましたがニアミスでしたね。
カバーされたのは『Happy Birthday to You』。この世で最も有名で、この世で最も歌われてる曲でした。
恵凪が出会いの時に歌っていた楽曲が大トリで再び歌われるというのはエモい。そして、あの時は人への嫌がらせ100%だった歌が、今度は人へ気持ちを届ける為の歌になっているという対比も感動的だなぁ……と思います。
このルートのライブ曲は、陽見恵凪作詞による『陽だまりのように』。陽って漢字が入ってるの良い。
本編内ではフルで聴くことができませんでしたが、後で聴いてみたらアウトロで「今、会いたい」と歌っていて泣きました。あまりにも全てすぎるレターソングでした。
他の女とくっつきまくってたせいで忘れ去られることもありそうですが、雪鷹が今この場所に立っているのは恵凪がいたからです。
結局自分がメインヒロインばかり好きになる理由は、シナリオの根幹としてこのような設定があるからだと感じます。
互いの個性を受け止め合いながら共に歩んできた関係がプロローグから続いている。要は関係がそのまま舞台の根っことなっている。それが良いんだよな~。メインヒロインとの恋愛だからこそだと思います。
恵凪から歌詞をもらい、曲作りに向き合う雪鷹。ここの独白が良かったですね。
SHAM NEKOでのステージを忘れることができず、思い出に溺れていた雪鷹。そんな彼を救ってくれたのが恵凪との出会いでした。
作中における雪鷹は行動的な人物であり、思いついたらとりあえずやってみようというのがレモネードファクトリー全体のスタンスとなっていたことがわかります。過去に溺れずに"これから"へ目を向ける。雪鷹が恵凪から教わったことでした。
エピローグで母親の葬儀まで描写したのは、最初は「そこまで描くのか……」と思って驚いた場面でした。しかし、葬式という悲劇を描きながらも前向きな雰囲気を感じさせてくれたエピローグは、そういった「明日を楽しむ」というメッセージ性の強調となっていたのかなと感じました。
中々重ための話ではありましたが、母親との関係修復を目指すというシンプルさ、涙を誘うカタルシスを備えているという面では、真っ直ぐな話ではあったと感じました。
ライブシーンの規模も過去最大であり、看板ヒロインに相応しいシナリオだったと感じました。
締めに相応しいルートだったなー……なんて思っていたら、恵凪ルートクリア後にまさかの新規シナリオ解放。全ルートクリアが条件でしょうかね。
Graduation。明るく描きつつも、これで物語が終わってしまうという寂しさも感じられる内容でした。青春バンドものの締めらしく、青春の切なさを感じさせてくれるエピソードでしたね。
『明け星』と共にエンドロールが流れるエンディングも良かったですね。最高の余韻を残してくれた結末でした。
まとめ
大ボリュームの新作は大満足の内容でした。
今作は「いきなり出てきた新キャラを救う」等の外的な問題に立ち向かう展開もなければ、ファンタジー要素も出てきません。強いて言うなら恵凪ルートでしょうか。お母さんを救う話であり、淫紋によって恵凪の正体がサキュバスだと判明する衝撃的なシーンがあるので。
過去作の上記の展開は決してノイズではなく、世界観に奥行きが生まれていたという意味でだれずに楽しめていた側面はありました。
しかし、それらがないことで解説パートを必要とせず、絶対的にボリュームのある今作は、必然的に過去作よりも描写が丁寧であり、キャラクターが立っていたと感じました。
ゆずソフトにファンタジーが必要か不要かというのは、度々挙がる話題だと思います。どちらが好きかの話をするならば、自分は今作の方向性の方が好みかもしれません。
もちろん自分としてはファンタジーありきの強みがいくつも誕生していた過去作も替えの利かないタイトルだと考えているので、要るか要らないかの話は不毛だと思います。自分がゆずソフトで一番好きなヒロインは乃愛なのですが、彼女は典型的なファンタジーの舞台があったからこそ生まれたキャラクターです。また、個人的に過去作屈指の神シナリオだった憧子ルートも世界観ありきの話でした。
ファンタジーがあるにせよないにせよ、面白くなるのかどうかは結局のところライターの方々の手腕次第としか言いようがないと感じます。
ファンタジー要素のようなわかりやすいSF設定がない場合はシナリオが淡泊になることも危惧されるはずです。しかし、ララジャムは淡泊どころかむしろ総合的にこれまでよりも面白くなっていたと感じました。巧みな筆致に感服です。
楽曲に関してはレビューで書いた通りなのですが、レベルが高すぎます。単純に楽曲数が多いほか、エクストラモード内ではパート再生機能までついているので、注力度合が異次元でした。
BGMはどれも良かったですが、特に耳に残ったものだと『Applause』ですかね。ライブの後とかでよく流れるやつ。余韻があって良いよね。
あとは『First Love』も良かったです。エロシーンとかでよく流れるやつ。
レモネードファクトリーのバンド曲はどれも良かったです。というか良すぎます。
最近ずっと移動中や作業中にサブスクで聴き続けているのですが、本当に神曲ばかりです。聴いているだけでも鳥肌が立ってしまいます。
そもそも新規ボーカル曲が16曲以上も入ってるノベルゲームってこの世にどのくらいあるのでしょうか。間違いなく本作の魅力を語る上で欠かせない要素だと思います。
サブスクで聴ける9曲の中で特に好きな曲は『Be brand new』『幻灯花火』『燈月小夜曲』『RGB』でした。
『Be brand new』は始まりの曲すぎて好き。『幻灯花火』は泣ける青春恋愛ソングすぎて好き。『燈月小夜曲』は月望ルートの雪鷹すぎて好き。
一番好きで鬼リピしてるのは『RGB』ですね。メロディも好きなのですが、ルートの内容が思い起こされて感動してしまいます。
杏珠ルートでの雪鷹はレモネードファクトリーのことを偶然の積み重ねで生まれたバンドと解釈し、寄せ集めならではの楽曲を作りました。キャンバスに絵具をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせていく情景を想起させるRGBの詞は、そんな背景を鮮明に歌っていたと思います。
「一つじゃないからこそ起きた化学反応」の部分が好きすぎました。メロディも歌詞も最高です。
そして、杏珠ルートの内容といえば雪鷹と杏珠の旅路。それを踏まえたリリックが散りばめられているのが感動的でした。
いつも以上に我を出した雪鷹らしい「欲張り過ぎかな」という歌い出しが良すぎます。何よりも落ちサビの「いつも探していた自分らしさって結局いつも此処にある」の部分が愛おしすぎました。杏珠、、、
ヒロインは美玖ちゃんも可愛かったですが、全ルートを通してみるとやっぱり恵凪が一番好きでした。
とはいえこれは性癖の話でしかなく、本作はどのヒロインも魅力的に描かれていました。
印象に残ったヒロインで言うと杏珠と月望でしたね。この二人はもはやイケメンすぎる。杏珠は努力が眩しすぎたし、月望は努力家として偉大すぎました。
ルートは何度も書いていますが全ルート良かったです。好きな順を強いて言うなら、杏珠>月望>美玖>莉々子>恵凪>那優花かなぁ。
ストーリーにキャラクターが動かされることがなく、魅力的に描かれていたのが素晴らしかったですね。全体としてテーマ性の感じられる筆致が多く引き込まれました。
従来通りヒロインが「可愛い」と思えるだけでなく、「かっこいい」とも感じさせてくれたのが本作でした。
いつも通り萌えゲーとして天下無敵であり、楽曲とシナリオも秀逸だったゆずソフト最新作。
ライムライト・レモネードジャム、最高の作品でした。ふぁっきゅー🎤