駆け抜けたい伝説の途中

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カオチャを半分見ての総括的感想

 カオチャのアニメも6話の放送が終わり、いよいよ折り返し地点ということですので、ここまでの感想を書いていきたいと思います。

 

 僕はアニメ組という名の当事者ではなく、ゲームで先に答えを知ってしまった原作組なので、初見の人がどう感じるかなどを考えることは難しいです。

 ですからこれだと初見の人にはわかりにくいだのキャラに感情移入ができないだの等の話は、部外者目線で考察することしかできないので、見当違いなことを書いているかもしれませんが、ご了承ください。

 

 

6話まで見てきて

・構成

 限られた尺の中で、上手く要点を抑えられていると思います。

 シナリオ的に重要な章である5章は一話丸々使って描き、さほど重要でない日常回の章である3章は三分のダイジェストでお送りするなど、話の取捨選択がわかっていると感じさせられます。あ、でも0話はいらなかったと思います

 尺の都合ですっ飛ばされたシーンは多いものの、それでも全ての会話を聞き逃さずに視聴すれば話の筋は通るようになっており、話の破綻は見られません。

 

 原作のある作品のアニメ化にあたって毎回危惧されるであろう「余計な改変がされて賛否両論を呼んでしまう現象」ですが、それもカオチャには今の所見られません。尺の都合で仕方なく改変されたことはありましたが。

 また、実は原作にはないカットがアニオリとしていくつか描かれてきてるのですが、どれもアニメに足りない日常描写を補完する目的や、原作にはなかった伏線を盛り込む目的でのカットなので、全く問題はありません。

 むしろ個人的には非常に気に入っております。この手のアニオリは原作勢としては視聴していく上での楽しみになります。

 

 

・作画

 なんとカオスチャイルド、今期の覇権になることは確定してるようです! キャベツの作画部門で。

 

キャベツ

 

 キャベツの話を抜きにしても、作画は1話から6話まで通して見てもかなり綺麗ですね。たぶん。アニメ鑑賞を趣味としている男ではないので他のアニメと比べた場合の良し悪しには疎いのですが、少なくとも作画崩壊しているような違和感はありませんでした。

 6話はちょっと怪しかったですけど、それでもアップで映っているキャラの顔が崩れたことはまだありませんし、今後も安心して見ることができそうです。

 

 

・声優変更

 真田里さんの声、最初は無理矢理似せようとしているように聞こえて違和感があったのですが、もう慣れてきました。頑張って種田さんの声に似せようとしているのが伝わります。

 アニメの久野里さんは原作よりもトゲがない方針で行くようですね。ニヤリと笑っているカットがよく見られます。

 

 久野里さんは個人的にも好きなキャラなので、発表当時は声優変更を受け入れられるかどうか不安でしたが、杞憂だったようです。LCCも楽しみになりました。

 

 

 総じて、満足しております。「原作のことがわかってない!」と怒る羽目にはなりませんでした。

 放送前は不安が非常に大きかったですが、やっぱりカオスチャイルドは最高でした。

 

 

放送前からわかっていた悲しさ

 アニメ組の方々へ。原作信者乙というレッテルを貼られても仕方ないレベルのハイパー言い訳タイムを始めます。

 

 アニメに「シュタゲ超え」は期待しないでください。

 

 原作がそもそも人を選ぶ作品だとか、テーマがアニメ向きではないとかそういう話ではなくて、理由はただひとつ、1クールだからです。

 

 何度書いたかわかりませんが、カオチャはシュタゲの1.5倍のテキスト量を誇ります。ですからテキスト量を重視して単純に計算すれば、シュタゲは2クールで放送されたのだから、カオチャは2×1.5で3クールで放送するのが尺的にちょうどいいことになります。

 しかし、カオチャのアニメに与えられた尺は3クールでも2クールでもなく、わずか1クールでした。

 

 つまり、物語はシュタゲアニメの3倍速で展開されていくことになります。現に一話目からゲームでは普通にプレイすれば7時間かかるところを、土台となる様々な描写を端折りに端折りまくって、たった24分で駆け抜けてしまいました。

 

 カオチャを12話構成で放送するというのは、シュタゲを8話構成で放送するのと等しいです。

 シュタゲといえば全24話中の12話目……つまり丁度真ん中の話で物語が大きく動き始めますが、その話のインパクトは今までの土台がしっかりしていたからこそ大きくなったものです。

 例えばシュタゲが8話構成だとして、果たして4話目で死ぬまゆしぃに感情移入ができるでしょうか? 非常に難しいと思います。

 

 カオチャのアニメは今の所展開をすっ飛ばしまくっているせいで、各キャラクターの設定がとても掴み難いです。性格が丁寧に描写されているのは乃々ぐらいです。

 例えば主人公は原作では濃い性格をしているのですが、現状彼の設定どころか過去すらほとんど語られていないので、感情移入できるできないどころか行動理由まで不明となってしまっています。

 アニメ組の方々が「なんでビビりなのに執拗に事件を追ってるの?」「なんで姉が刺されて泣くほど後悔していたのに事件を追うのをやめないの?」など、疑問に感じるのも無理もありません。どれも原作では説明されているか、1クールなことで展開に無理が生じてしまっているのです。

 

 したがって、キャラの描写がおざなりになってしまっているせいで、この先どんなどんでん返しが起ころうとも、「へーそうだったんだ」で終わってしまいそうなのが危惧されます。

 シュタゲのように2クールがっつり使って人間関係を描いていないので、あちらのようなカタルシスは間違いなく感じにくくなっていると考えられます。

 

 

 

 以上です。

 放送前は宣伝の少なさとPV公開の遅さなどから、アニメは本当に大丈夫なんだろうかとネガティブ妄想に苛まれることが多かったです。

 しかし蓋を開けてみれば話の取捨選択はほぼ完璧で、原作にはない伏線を盛り込んでいくなど、スタッフの拘りを感じるアニメでした。個人的にはかなり満足しており、毎週の楽しみで生き甲斐にもなっているアニメです。

 

 それでも放送前からわかっていたことではありましたが、1クールしか尺が貰えなかったということは想像以上に痛かったです。

 登場人物の掘り下げはほとんどカットされてしまったので、有村を始めとしてキャラの性格が不透明に見えてしまいますし、拓留の行動原理もわからないので感情移入がしにくいです。

 アニメのクール数に関しては予算という大人の都合が絡んでしまうので、1クールなものは仕方ないですし誰も恨みようがないのですが、初見の方にとってわかりにくいアニメになってしまったのは残念でした。

 

 

 ほぼアニメ総括のような感想になってしまいましたが、カオチャの物語はまだ終わっていません。むしろ今までのは土台作りで、本番はここから始まると言っても過言ではないかもしれません。

 原作で言う所の8章以降のストーリー。残り4章にも関わらずまだ6話も残しているということで、尺には多少余裕があるので、これまでよりはじっくり描かれることになると思います。

 プレイ中に酷く驚かされたり涙を誘われたりした終盤のあれらのシーンを、一体どのようにアニメにしていくのか、とても楽しみです。視聴の準備は、おっけい?