駆け抜けたい伝説の途中

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今更CC感想

科学ADVシリーズ第四弾、CHAOS;CHILDの四周目が完了しました。

 

CHAOS;CHILD

 

人生でプレイした全てのノベルゲームの中で一番好きな作品であり、今後プレイするゲームの指標にもなりました。

 

 

ちなみに移植としては、背景CGがズームするシーンで処理落ちしてしまったり、乃々の立ち絵が重なるバグがあったり、画面の効果エフェクトがたまにバグって半分しか表示されなかったり……という不具合は確認しました。

 

まあ、上記は正直軽微なことなのですが、そんなことよりも最終章の例の曲が流れる場面で、二回ほどエラー落ちをしてしまうという悲しすぎることがありました。

これは自分のswitchが悪いだけなのでしょうか。ちょうど曲がループするタイミングだったので不具合のようにも見えてしまいました。

流石にクライマックスで確率でエラー落ちするという事実は、初見のプレイヤーからしてみればゲームに対する評価に支障が出るレベルだと思いますので、不具合だったら悲しいと思いました。

 

 

考察や感想などは随所の記事で語っていたことはありましたが、まともなルートごとの感想は未だに書いていなかったので、今まで書けていなかった部分を再プレイで感じたことも含めて、簡潔に書いていこうと思います。

ネタバレ全開の文章となっているので、未プレイの方は閲覧をご遠慮ください。

 

 

共通ルート

 

正直カオスチャイルドといえば乃々ルート→TRUEルートの流れが全てを持っていってしまうゲームなので、この辺の記憶は曖昧になっていましたが、改めてプレイしてみると馬鹿面白いですね。

序盤から徐々に真相に近付いていく感覚が強く、だれることがなく読み進めることができます。

初見プレイと違ってカロリーを使わなかったという理由もあると思いますが、土日だけで16時間以上も進めてしまいました。

 

特に9章の非実在青少女~世莉架が豹変するシーンまでの面白さは、全ノベルゲームの中でも屈指だと思います。

非実在青少女のシャッター音の演出、結衣の火葬の生々しさは、当事者であることのままならなさを実感させるものがありました。

何よりも伊藤との電話の後に展開される、最後のマッピングトリガー。そこで絞られるのが世莉架・乃々・拓留の三人なのは戦慄せざるを得ず、一体これからどうなっちまうんだ……となること請け合いでした。

 

 

まあ、その真相に近付いていく面白さという感覚すら、実際は世莉架によって描かれたものだったりするのですが。

カオスチャイルドは主人公が事件を追っていくという話からミステリーもののように見えますが、結果的にはミステリーものとしては反則過ぎるゲームだと思います。

なんせ事件を起こした動機は「面白いから」&「事件を起こすのが目的だから」であり、手口は全てスーパーギガロマパワーで説明を付けてしまいます。

拓留達がずっと気にしていた現場に意味ありげに置かれていた力士シールも、事件のカギを握る手がかりかと思いきや、なんとなく興味を引くために置いたに過ぎませんでした。

拓留達の立場に立って推理していたプレイヤーからしてみれば、中盤までの真面目な推理を返せと言いたくもなります。

 

しかし、共通ルートとTRUEルートをプレイした後では、「このゲームは良い意味でミステリーものではなかった」と。そう言える作品だと思います。

主人公の最初の台詞、「この原作者は、原作のことがわかっていない……!」は、最後の最後でまさかのブーメランとなります。原作者(拓留)は原作(幼馴染)のことを何も知らなかった。

 

 

共通ルートのラストは、誰がどう見ても世莉架の再構築が失敗したという結末。

TRUEでは再構築が成功し、共通ルートでは再構築が失敗した……相反する結末が生まれた理由としては、やはり乃々の生死が大きく影響しているのだと思います。

世莉架を再構築するということは、最も近くに居た幼馴染を手放すということ。乃々と死別してしまった拓留にとって、心の底で再構築に迷いが生まれてしまうのは必然だったと思います。

 

 

 

有村ルート

 

デートイベントがあったり、妄想トリガーがポジネガ含めてふざけまくっていたりと、美少女ゲームっぽいルートに仕上がっていると思います。ENDを見るまでなら。

 

個人的にはカオスヘッドの例のENDがとても自分好みなので、有村ルートもぶっ刺さっていると再確認しました。

理不尽な悪意をぶつけられ、世界に嫌われてしまった女の子。彼女が幸せになれる本当の世界は、現実を捨てた先にしか見ることが叶わなかったのでした。;;

 

こういう結末になった理由が未だによくわかっていないのですが、世莉架が有村に嫉妬して歪んでしまったのでしょうかね。

世莉架が独占欲のようなものを持っているのは自明だと思いますが、それにしたって事件の規模を急激に落とした挙句、拓留まで死ぬ未来をキャンパスに描いたというのは、壊れてしまったとしか思えませんでした。

殺害方法が猟奇的ではなくなっていた辺り佐久間とは手を切ってそうですし、暴走してたように見えます。暴走する程の出来事があったかは首を傾げるところではありますが。

 

 

 

香月ルート

 

香月という女の子は、実は共通ルートのプロットが全てできた後に原案の人から「ヒロインが一人足りない気がする」と言われ、急遽追加されたヒロインです。

ですから共通ルートの彼女の「取って付けた感」はそれが理由でした。

 

急遽ヒロインを追加することになった挙句、加えて原案の方から「香月ルートには『力士シールマン』なるファクターを登場させる」というミッションを課せられました。

これにはメインライターの方もお手上げとなってしまったので、ここで我らが科学ADVライターの林さんが立ち上がったという経緯がありました。

 

 

そんなたらい回しのような形で製作されたルートにしては、尋常じゃないぐらい面白かったと思います。

なんだこれwとなるような展開の連続です。あまりにもはっちゃけすぎていました。

 

極端な上振れを引いたとはいえ、偽物のギガロマニアックスである香月が、本物のギガロマニアックスである和久井を退けたという事実も恐ろしいですよね。

それだけ彼女の能力は強く、そして委員会が動いてしまう程には危険だったのだと思います。

 

これから世界を敵に回して委員会と戦っていくという結末になりましたが、今後彼らが生き残れる可能性は……うーん。

 

 

 

うきルート

 

妄想の中での和気あいあいパートが一時間ぐらい続きます。

共通ルートでうきが登場した辺りでは事件が佳境を迎えているので、こういう和やかな描写はオアシスだと思います。

 

何気にエンディングが二つあるルートです。

ひとつは見なくてもTRUEにはいけるおまけENDのようなもの。所謂映画ドラえもんのび太と夢幻の三剣士エンドです。

もうひとつは、拓留のやりたいことが叶えられた結末としては最も平和かもしれません。この世莉架はいくらなんでも物わかりが良すぎる気もしますが。

 

まあ、香月ルート以外の個別ルートにも言えることですが、この後和久井による「大掃除」が発生して全滅してしまうのはもはやわかりきった結末なわけですが……。

 

 

 

乃々ルート

 

共通ルートで明かされなかった真実がいよいよ明かされる、という意味で最重要な個別ルートだと思います。

まあ香月ルートもやらないと本人の謎が明かされませんが、乃々と香月では共通ルートで占めていたウエイトの量が十も百も違うので……。

 

乃々ルートの拓留のブチ切れっぷりは、各所のプレイ感想を見ていると叩かれがちだと思います。

個人的には隠し事はなしというルールを作ったのは乃々であり、世莉架にバラされてもなお最後まで食い下がってしまっていたので、知ることに強くこだわっている少年が激昂するのは無理もないことだと思います。

逆に乃々に関しても、自分の存在そのものに関わるような六年前からずっとついていた嘘を、貫き通して真実にしようとするのは必然です。何よりも泉理としての自分に自信がなく、正体を明かすことで積み上げきたものが全て壊れてしまうこと、ひいては自分以外の人間同士の人間関係への影響力を危惧するのは栓ないことです。

 

言わずもがな、一番悪いのは世莉架です。彼女が二人にとって最悪のタイミングで、且つ悪意のある開示の仕方をしたからこそ、起こってしまったことだと思います。

それはTRUEにおいて泉理が拓留に正直に打ち明けた際には、何事もなく受け入れられたという事実が物語っています。(TRUEの拓留が仙人と化していたのもあると思いますが。)

カオスチャイルドは「嘘」がテーマのひとつとなっている作品でもあり、嘘の扱いについても考えさせられるルートだと思います。

 

川原君は共通ルートだけならばなんだかんだイイ奴で終わっていたのに、ここで一気に株を落としてきました。

LCCの乃々ルートでの扱いを見てもわかる通り、これが公式(担当ライター)の方針なんだと思います。

まあこれだけならネタキャラ及び舞台装置で済む話だと思いますが、没エンドで泉理を殺害してるというのはあまりにも……。

 

 

 

TRUE

 

カオスチャイルド症候群の老化症状の伏線は、

 

・走った後にやたらと息切れする場面が多い

・碧朋学園に手すりが多すぎる

・久野里さんと組み合った際に力強いと説明される(自分達が弱体化しているだけ)

・8章の@ちゃん民が杯田理子の写真を見て「昔は可愛いかったのにすっかりメンヘラBBA化してる」と書き込む

・10章でDQN達にヨボヨボと言われる

・11章で拓留を名乗った愉快犯が「遠目からでも判別できるぐらい拓留より若い」と説明される

・有村ルートで有村が「後ろからナンパしてきた相手に振り向いたら逃げられた」

・有村ルートで拓留と有村がイチャついている場面で女子二人組から「私達もあんな風になりたい」と言われる

 

代表的なものではこの辺りだと思います。

伏線と言っても終盤に集中していますし、当人たちに都合の悪い事実だけ気づけないという都合の良い設定になっているので、あまりにも唐突に感じる事実だと思います。初見で老化してると看破できる人は果たしているのでしょうか。

誰よりも情強を気取っていた人間が、実際は最も情弱な人種だったという皮肉でした。

 

 

能力のないパンピー集団が和久井を退けられたのは奇跡だと思いますが、和久井にとって拓留を殺す理由がほぼなかったことも事実。

症候群が穏便に治療されるならば、委員会にとって願ってもない話です。

何よりも和久井は拓留の観測を条件に上層部にゴネていた時点で、宮代拓留という人間そのものに少なからず興味を持っていたと思います。

 

 

silent wind bell、数年振りに聞いたのですが神曲でしかなかったです。

これを作詞したいとうかなこさん、原作のことがわかりすぎている……。